「割り勘でいいだろ」お金に細かい彼。だが、コンビニのお釣りを受け取る時に見せた行動に絶句
高いものだけ頼む人
5歳年上のその人と食事に行くと、注文はいつも彼が先に決めました。
メニューの中でも値の張るものを、迷わず選んでいきます。
「ここ、この店の名物らしいよ」
そう言って頼むのは、たいてい一番高い皿でした。
私はといえば、サラダや小鉢で十分なほうです。
それでも会計になると、彼はいつも同じ言葉を口にしました。
「割り勘でいいだろ」
食べた量はまるで違うのに、支払いはいつもきっちり半分です。
少し不機嫌そうな顔をされると、こちらも何も言えなくなりました。
デートのたびに、私は財布の中身よりも先に、気持ちのほうがすり減っていくのを感じていました。
お釣りをしまう手つき
お金にまつわる引っかかりは、付き合った当初からありました。
コンビニで割り勘にしたとき、細かいお金がなくて、私が5000円札を出したことがあります。
会計は2500円ほど。戻ってきた2500円のお釣りは、彼の財布へすっと消えていきました。
「それ、私のぶんだよね」
「もう入れちゃったから。次おごるよ」
そう言った次は、一度も来ませんでした。
お金がなくて困っている人ではないのです。それなのに、支払いの場面になると、少しでも得をしようとする手つきが顔を出しました。
その小さなごまかしが、私にはどうにもダサく見えて仕方ありませんでした。
お金を大切にするのと、けちで人からくすねるのは、まるで別のことです。彼の場合は、いつも後者に見えました。
最後の食事で見せた顔
別れを決めたのは、いつもの割り勘の席でした。
高い皿をいくつも並べた彼が、伝票を私の側にすっと寄せてきます。
「今日も割り勘な」
伝票の合計は、また彼の頼んだ料理でふくらんでいました。
その顔を見た瞬間、ああ、もういいな、と静かに思いました。
責める気持ちよりも先に、心が冷えていくのが分かります。
私は自分の食べたぶんだけをテーブルに置いて、静かに切り出しました。
「ここまでにしよう。今までありがとう」
「待って、今日の会計は?」
彼が最初に気にしたのは、そこでした。数百円を守って、目の前の人を手放していることに、たぶん最後まで気づいていませんでした。
店を出て、私は一人で駅まで歩きました。財布の中身は少し減ったけれど、気持ちのほうは、ずいぶん軽くなっていました。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














