「うちまでかなり響いているんです」下の階から注意されたラジオの音。だが、注意されたことをきっかけに見直したこと
休日の昼、玄関のチャイムが鳴った
十年ほど前、私は賃貸マンションの四階で暮らしていました。
そのころ、両耳が詰まったような感じが続いていて、普段より音が聞こえにくくなっていました。
ある休日の昼、掃除をしながらラジオを流していました。自分ではいつもと同じくらいのつもりでしたが、掃除機をかけているうちに少しずつ音量を上げていたようです。
掃除がひと段落したころ、玄関のチャイムが鳴りました。
ドアを開けると、立っていたのは真下の部屋に住む男性でした。
何かあったのかと思っていると、男性は少し申し訳なさそうに言いました。
「すみません。ラジオの音が、うちまでかなり響いているんです」
驚いて部屋を振り返りました。言われて初めて、ラジオの音量が普段よりずっと大きくなっていることに気づきました。
「すみません。耳が詰まっていて、こんなに響いているとは思わなくて」
慌てて事情を話すと、男性は「ああ、そうだったんですね」とうなずきました。
「上の部屋で普通に聞こえていても、下だと低い音が響くことがあるみたいで。少しだけ下げてもらえれば大丈夫です」
怒鳴られることも覚悟していたので、その穏やかな言い方にかえって申し訳なくなりました。
私はもう一度頭を下げ、その場ですぐラジオの音量を下げました。
自分に聞こえる音だけを基準にしていた
それからは、掃除をするときでも音量を上げすぎないよう気をつけるようになりました。
ラジオのつまみには、小さな印もつけました。それ以上には上げないための目印です。
数日後、廊下で下の階の男性と顔を合わせました。
「この前はすみませんでした」
私が声をかけると、男性は「いえ、最近は全然気にならないですよ」と笑ってくれました。
その言葉にほっとした一方で、自分の耳の状態も気になりました。
そこで耳鼻科を受診し、処置をしてもらうと聞こえ方がかなり変わりました。
外へ出た瞬間、車の走る音や人の話し声が思っていた以上に大きく聞こえて驚きました。
自分にはちょうどよく聞こえていたからといって、周りにも同じように届いているとは限りません。
あの日注意してもらわなければ、私は気づかないまま音量を上げ続けていたかもしれません。ラジオにつけた小さな印は、耳の状態が戻ったあとも、そのまま残しています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














