tend Editorial Team

2026.08.28(Fri)

「あっ、やばい!すみません」読経中に位牌を倒してしまった親族。だが、住職が返した優しい言葉

「あっ、やばい!すみません」読経中に位牌を倒してしまった親族。だが、住職が返した優しい言葉

読経の途中で、位牌が倒れた

祖父の法事で、親族そろって本堂に座っていたときのことです。

読経が続くなか、前のほうに座っていた親族が椅子から立ち上がろうとしました。長く同じ姿勢でいたため、少し座り直そうとしたようです。

そのとき足元がもつれ、祭壇のそばにあった台に体が軽く触れました。

こつん、と小さな音がして、置かれていた位牌が横に倒れました。

「あっ、やばい!すみません」

親族があわてて頭を下げます。読経もいったん止まり、本堂の中が急に静かになりました。

私も近くにいましたが、勝手に位牌へ触れていいのか分からず、動けませんでした。ほかの親族も同じだったようで、誰も手を伸ばしません。

住職は、慌てる様子もなかった

すると住職がゆっくり振り返りました。

倒れた位牌を見ても驚いた様子はなく、親族に向かって穏やかに言いました。

「大丈夫ですよ。こういうことはありますから」

そして自分で位牌を元の位置に戻しました。

「気にしなくて大丈夫です」

それだけ言うと、住職は再び正面を向き、止まっていた読経を続きから始めました。

木魚の音が戻ってくると、それまで張りつめていた空気も少しずつ元に戻っていきました。位牌を倒してしまった親族も、ようやく肩の力が抜けたように見えました。

私もそのときになって、知らないうちに息を詰めていたことに気づきました。

会食で、ようやく笑って話せた

法要のあとの会食では、先ほどの親族もすっかり落ち着いていました。

食事の途中で、少し照れたように言います。

「びっくりした。おじいちゃんに怒られたかと思ったよ」

すると伯父が笑いました。

「あの人は、そんなことで怒らんよ」

周りからも小さな笑い声が起こりました。

本堂では誰もどうしていいか分からず固まっていたのに、住職が大ごとにしなかったことで、その出来事は本当に小さなハプニングとして終わったのだと思います。

何か失敗したとき、周囲の反応ひとつで本人の気持ちはずいぶん変わります。

あの日の住職の落ち着いた声を、私は今でもよく覚えています。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.08.28(Fri)

「私なんかが社長に言えることじゃないですよ」ゴルフ場で褒めながら助言していた男性。だが、急に弱気になった理由
tend Editorial Team

NEW 2026.08.28(Fri)

「やっぱり駄目だよな」持ち帰る客を見て黙っていた私。だが、次に店へ行くと変わっていたこと
tend Editorial Team

NEW 2026.08.28(Fri)

「家で数えてきましたから」大量の小銭で会計した女性。だが、袋の中身が1円もずれていなかった
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.03.11(Wed)

「金を払っているのに店に感謝はおかしい?」有名実業家が投じた一石が波紋…令和の食卓で失われゆく「ごちそうさま」の境界線
tend Editorial Team

2026.07.02(Thu)

世界の舞台で見せた森保一監督の深々とした一礼が隣国で大反響を呼ぶ一方、冷静な分析と双方へのリスペクトを求める声も
tend Editorial Team

2025.11.21(Fri)

日本人映画監督として史上初の快挙に「天才すぎ」「誇らしい」と称賛の声続出!ゆりやんレトリィバァ、初監督映画が台北金馬映画...
tend Editorial Team