「一本2万円くらいの酒を用意してくれよ」一周忌の会食で飛び出した冗談。だが、義祖母が真顔で返した一言
静かだった会食の席で
義祖父の一周忌の法要があった日のことです。
お寺での読経を終えたあと、親族そろって会食の会場へ移動しました。
料理が並んでも、最初のうちは会話がなかなか続きませんでした。義祖父を思い出す場でもあり、みんな少し言葉を選んでいるように見えました。
そんななか、遠方から来ていた親戚の男性が、義祖父の若いころの話を始めました。
「背広がよく似合ってたんだよな」
昔を懐かしむ話に、少しずつ相づちが増えていきます。
男性も楽しそうに話し、お酒が進むにつれて声も大きくなっていきました。
そして自分の杯を見ながら、冗談めかして言ったのです。
「俺の葬式のときは、一本2万円くらいの酒を用意してくれよ」
その瞬間、近くにいた人たちの手が止まりました。
一周忌の席で自分の葬式の話をされたことに、どう返していいのか迷ったのだと思います。私も隣の夫と顔を見合わせました。
義祖母が返した、思いがけない一言
すると、義祖母が男性のほうを見ました。
怒った様子でもなく、困った顔でもありません。
「じゃあ、その日のために今から少しずつ貯めておかないとね」
真顔でそう言ったので、一瞬の間のあと、近くにいた人が吹き出しました。
それにつられるように笑い声が広がり、言い出した男性自身も「そりゃ大変だ」と笑っています。
気まずくなりかけていた空気は、そこで少しやわらぎました。
その後は自然と、義祖父がお酒を飲んでいたころの思い出話になりました。
一度にたくさん飲む人ではなく、気に入った一本を少しずつ楽しんでいたこと。なかなか新しい瓶を開けず、「まだ残ってるだろ」と言っていたこと。
「そうそう、もったいながる人だったよね」
誰かがそう言うと、また別の思い出が続きました。
帰るころには、最初の静けさが嘘のように、義祖父の話をする声があちこちから聞こえていました。
玄関で義祖母は、あの男性にもいつも通り「また来てね」と声をかけました。
少し場違いにも聞こえた冗談でしたが、義祖母は責めるのではなく、同じように冗談で返しました。そのおかげで、親族みんなが義祖父のことを話せる空気になったのだと思います。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














