「高い宿泊費を払ってるんだ」朝食ビュッフェで大皿を抱えた男性。スタッフが3度注意した末に起きた変化とは
いくらの前だけ、列が止まっていた
朝食の会場へ下りたのは、開場から一時間ほど経った頃でした。
家族の席を取ってから料理を取りに行くと、海鮮が並んだ一角だけ人の流れが止まっています。
近づいてみると、列の先頭にいた年配の男性が、いくらの入った大皿を台から持ち上げていました。
自分の茶碗へ何度もすくっていて、後ろには料理を取れずに待っている人が数人います。
若いスタッフが男性の横から声をかけました。
「恐れ入ります。大皿は台に置いたままお取りいただけますか」
すると男性は、大皿を持ったまま答えました。
「このほうが取りやすいんだよ」
スタッフは少し間を置いて、もう一度お願いしました。
「ほかのお客様もお使いになりますので、お願いいたします」
それでも男性は大皿を戻さず、スプーンを動かし続けました。
後ろの列がさらに伸びたところで、スタッフは三度目に声をかけました。
「後ろのお客様もお待ちです。大皿を台へ戻していただけますでしょうか」
すると男性は顔を上げ、急に声を大きくしました。
「高い宿泊費を払ってるんだ。好きなだけ食べちゃいけないのか」
近くにいた客が振り返り、列の空気が一気に重くなりました。
責任者が伝えたのは、同じお願いだった
騒ぎに気づいたのか、少し離れた場所にいた会場の責任者がこちらへ来ました。スタッフから短く事情を聞くと、男性に向かって頭を下げました。
「お食事の量を制限しているわけではございません。ただ、こちらは皆様でお取りいただく大皿ですので、台に置いたままご利用をお願いしております」
男性は「でも、こっちのほうが取りやすいだろ」と言いました。
責任者は言い返すことなく、後ろにできた列へ視線を向けました。
「お待ちのお客様もいらっしゃいますので、ご協力いただけますでしょうか」
男性もそこで初めて後ろを振り返りました。何人も茶碗や小皿を持ったまま待っています。
少しして、男性は何も言わずに大皿を台へ戻しました。
スタッフが「ありがとうございます」と頭を下げると、男性は自分の茶碗を持ってその場を離れていきました。
止まっていた列はすぐに動き始めました。
スタッフが料理を整えていると、すぐ後ろで待っていた女性が小さな声で言いました。
「大変でしたね。ありがとうございます」
スタッフは少しだけ表情を緩め、「お待たせして申し訳ございません」と返していました。
男性としては、取りやすいように大皿を持ち上げただけだったのかもしれません。それでも、大勢が同じ料理を利用する場所では、自分にとって便利なやり方が周囲を困らせることもあります。
朝食会場で止まっていた列が動き出すのを見ながら、そんなことを考えた出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














