「誰も困ってないって」火気厳禁の公園で焼き肉を続ける父親。巡回の職員に注意され、急に黙り込んだ瞬間
公園の原っぱから漂ってきた焼き肉のにおい
日曜日、私は妻と近所の大きな公園へ出かけました。
昼の原っぱは、お弁当を広げる家族やボール遊びをする親子でにぎわっていました。
端のベンチに座って休んでいると、どこからか肉の焼けるにおいが漂ってきました。
「あれ、焼き肉のにおいしない?」
妻に言われて辺りを見回すと、原っぱの隅で2組の家族が小さなコンロを使って肉を焼いていました。
ここは火を使うことが禁止されている原っぱのはずです。
中心にいた父親は、片手に缶ビールを持ち、仲間と楽しそうに話していました。そばでは小さな子どもたちが紙皿を持ち、肉が焼けるのを待っています。
ただ、風が吹くたびに煙が周囲へ流れていました。
少し離れた場所では、母親が子どもの顔にかかる煙を手で払っています。近くにいた家族も、煙を避けるように少しずつ場所を移していました。
ジョギング中の男性も、通りがかりにコンロのほうを見ていました。
その視線に気づいた父親が、仲間に向かって言いました。
「そんなに見なくてもいいのにな」
すると、一緒にいた母親の一人が少し気にした様子で声をかけました。
「でもさ、煙、向こうまで行ってるよ」
父親は缶ビールを持ったまま笑って答えました。
「誰も困ってないって」
その言葉に、私は妻と顔を見合わせました。
実際に煙を避けている人がいるのに、気にならないのでしょうか。
それに、子どもたちの前で禁止されている火を使っていることも引っかかりました。
巡回の職員に声をかけられた父親
そのとき、原っぱの向こうから作業着姿の男性が歩いてきました。公園を巡回している管理事務所の職員でした。
職員はコンロの前で立ち止まると、父親に声をかけました。
「すみません。ここ、火を使っちゃいけない場所なんですよ」
父親は缶ビールを持ったまま、軽く手を振りました。
「あ、もう終わるとこなんで。大丈夫ですよ」
しかし、職員はその場を離れませんでした。
「すみませんが、今すぐ消してもらえますか」
「いや、もう少しで終わるんですけど…」
父親はまだ続けようとしましたが、職員は落ち着いた口調で答えました。
「終わるところでも、ここでは火を使えないんです。煙も周りに流れていますし」
父親はちらりと周囲を見ました。
そこには、煙を避けて離れた場所に移った家族たちの姿がありました。
先ほどまで「誰も困ってないって」と笑っていた父親は、缶ビールを握ったまま黙り込みました。
職員は続けて言いました。
「火が消えるまで、こちらで確認させてください」
父親はそれ以上何も言わず、缶ビールを地面に置いてコンロの火を消し始めました。
仲間たちも片付けに取りかかり、先ほどまで聞こえていた大きな笑い声はなくなりました。
やがて煙が消えると、原っぱには再び子どもたちの楽しそうな声が響いていました。
妻が私の腕を軽くつつきました。
「よかったね」
私もうなずきました。
誰も困っていないと思っていても、周りから見ればそうではないこともあります。
あの父親も、もう少し周囲の様子に目を向けていれば、違ったのではないかと思いました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※公園内における火気の使用については、各施設の管理規則に従ってください。火気使用が禁止されている区域でのバーベキューや調理行為は控え、火災・火傷等の事故防止および周囲の利用者への安全配慮を徹底してください。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














