「毎晩10分の道を迎えに行ってた」と親戚の前で自慢する父。伯母の一言で、親戚の冷めた視線に気づいた父の顔
徒歩10分の塾に毎晩来る父
父は毎晩、車で妹を塾まで迎えに行っていました
私が大学生だった頃の話です。うちの両親は過保護で、子どものことを何でも把握していないと気が済まない人たちでした。
四つ下の妹は大学進学を目指し、家から歩いて十分ほどの塾に通っていました。ところがある時期から、父が毎晩その塾まで、車で妹を迎えに行くようになったのです。
高校生の妹にとっては、たまったものではありません。
「子ども扱いしないで。」
何度そう言っても、父は聞き入れませんでした。
「危ないから、乗りなさい。」
「あなたのためを思って」というのが、父の口癖でした。
しかし妹にとっては息苦しいだけで、塾の友だちの前で車を横付けされるたび、恥ずかしい思いをしていたようです。
妹が素通りしても、父は離れた所から見張りました
妹は、迎えの車を見かけても知らんふりをして、そのまま素通りしてしまうことがよくありました。
「一人で帰れるから。」
それでも父は諦めませんでした。妹に断られると、今度は塾が終わる時間を見計らって、十メートルほど離れた暗がりから様子をうかがうようになったようです。
心配だから、というのが父の言い分でした。けれど当の妹にとっては、離れた場所から見張られることも負担だったのでしょう。父の行動に、ますますうんざりしている様子でした。
親戚の集まりでの自慢話
数年後の親戚の集まりで、父は得意げに語り出しました
それから数年が過ぎた、ある年の親戚の集まりでのことです。畳の部屋の座卓を囲んで食事をしていると、父が得意げに昔の思い出を語り出しました。
「毎晩10分の道を迎えに行ってた。」
父にとっては、娘への愛情の証だったのでしょう。ところが、話を聞いていた親戚たちの表情は、少しずつ固くなっていきます。場の空気が冷えていくのを感じました。
それでも父だけは、まったく気づいていません。にこにこと続きを話そうとしたところで、伯母が静かに口を開きました。
「本人は嫌がってたでしょ。」
伯母の一言で父は言葉に詰まり、妹は自分で距離を決めました
父の言葉が、そこでぴたりと止まりました。周りの親戚も、小さくうなずいています。
「そりゃそうよ、高校生だもの。」
あちこちから、そんな声が漏れました。
「……いや、心配で。」
そう言いかけたものの、続きが出てきません。得意げだった父の顔が、みるみる赤くなっていきます。傍らで見ていた私は、正直、胸がすく思いでした。
妹はその後、志望大学に合格し、進学を機に家を出ました。連絡の頻度も会う回数も、自分で線を引いたのです。
「必要なときは、こっちから連絡する。」
そう宣言した妹は、親に振り回されることなく、自分の生活を築いています。あの日の親戚の視線は、父にも少しは堪えたようで、今では妹との距離をわきまえ、口出しもぐっと減りました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














