「こんなに高いのか!?無理だぞ!」婚約指輪を選ぶ時に驚く夫。だが、夫が続けて言った言葉に結婚を辞めるか考えた
憧れの店でふたり、指輪を選ぶ日
婚約指輪は、ずっと前から心に決めていた店で選びたかった。
子どもの頃から憧れていた海外有名ブランドの宝飾店。夫に伝えると「わかった」とあっさり了承してくれた。当日はふたりで並んでショーケースを覗き込み、宝石が光を受けて揺れるたびに、じんわりと嬉しくなった。ここまで来た、という気持ちがあった。ずっと思い描いていた場所に、ふたりで立てた。
でも、夫が値段のプレートを見るたびに発するひと言が、その気持ちを少しずつ削っていった。
「こんなに高いのか!?無理だぞ!」
一本目だけならまだよかった。店員さんが新しい指輪を出すたびに、同じ言葉が出た。
声のトーンは明るくて、悪気がないことはわかっていた。でも、繰り返されるたびにじわじわと恥ずかしくなった。店員さんが丁寧に説明してくれるたびに、申し訳ない気持ちが積み重なった。なるべく夫に負担をかけたくなくて、見ていた中でいちばんシンプルな価格帯のたてづめのリングに絞った。
本当は別の指輪が気になっていたけれど、もう言い出せなかった。せっかく来た憧れの店で、いつの間にか自分だけ気持ちが萎んでいた。
お会計で口にした値切り発言
お会計に進んだとき、夫がふいに店員さんへ向けて言った。
「安くなりませんか?」
店員さんが笑顔のまま、ほんの少しだけ固まった。私はすぐに目を伏せた。なんと言えばいいかわからなかった。ハイブランドの宝飾店で、その一言を言ってしまうことへの想像力が夫にないのだと、このとき初めてはっきり気づいた。
もう少し早く気づいていたら、違う場所を選んでいたかもしれないとも思った。でも、そう思うことすらなんだか虚しかった。この店に来たかったのは私で、あの一言を言ったのは夫で、傷ついているのも私だった。
値引きはされなかった。それはそうだった。会計を終えて店を出ると、夫は「いい指輪だったね」と言った。
私は「うん」と答えながら、あの瞬間を何度も頭の中で繰り返していた。夫は何も感じていないように見えた。何か言いたかったけれど、言葉が見つからなかった。それが一番しんどかった。
夫が悪い人だとは思っていない。でも、あの場面だけが抜けない。指輪を見るたびに輝きより先にあの声が浮かぶ。
結婚辞めようかと思ったのは、ほんの一瞬だったけれど、なかったことにはできない。あの日の気持ちをどこに置けばいいのか、まだわからないままでいる。指輪は今も手元にある。でも、あの日の記憶は消えない。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














