「ネットに書いてやった!」別れ際に息子を中傷した女。だが、父の冷静な対応に救われた
打ち明けられた事情
食卓に着いた息子が、また箸を置くのが早かった。
スポーツ推薦の声がかかるほど体力自慢だった子が、社会人2年目の冬、見る影もなく痩せていた。
心配で病院を勧めた私に、息子はようやく重い口を開いた。
「実は、別れた相手とトラブってて」
帰宅のバスで知り合い、付き合っていた相手と別れた。
問題はそのあとだった。スマホを差し出した息子の画面に、別れ際に相手から届いた一文が残っていた。
「ネットに書いてやった!」
その宣言どおり、息子の私生活をなぞった悪口が、次々と投稿されていたのだ。
冷静に、確実に
「自分でやめてって何度も言ったよ。でも、止まらなくて」
息子は声を詰まらせた。屈強な体つきの子が、肩を落として小さくなっている。
あんなに頼もしかった背中が、こんなに頼りなく見えたことはなかった。
怒りで頭が熱くなったが、ここで私が感情的になっては元も子もない。
「分かった。お前はもう返信するな。あとは父さんがやる」
「でも父さん、相手を怒らせたら、もっとひどくなるんじゃ」
「大丈夫だ。怒鳴り込むんじゃない」
私はまず、投稿を一件ずつ日付の分かる形で保存した。
相手が消してしまえば、被害の証拠ごと消えてしまう。
先に押さえておくことが何より大事だと、調べていくうちに分かってきた。
記録がたまったところで、息子を連れて公的な相談窓口へ向かった。
隣に座る息子の顔は、まだ強張ったままだった。
担当者は資料を丁寧にめくり、落ち着いた声で告げた。
「これだけ残っていれば、書いた人を特定する請求ができますよ」
「そんなことが、できるんですか」
思わず私が聞き返すと、担当者ははっきりとうなずいた。
止まった書き込み
定められた手続きに沿って、投稿者を明らかにする請求を進める。
やがて相手のもとへ、正式な通知が届いた。
結果は劇的だった。あれほど居直って投稿を重ねていた相手の書き込みが、ある日を境にぴたりと止んだのだ。
さらに後日、短い謝罪が一度だけ送られてきた。「書いてやった」と勝ち誇っていた人物の言葉は、もうどこにもない。
「父さん、これで、もう怖がらなくていいんだね」
「ああ。黙って耐えるのが正解じゃない。こうやって、ちゃんと止められるんだ」
息子は深く息を吐き、久しぶりに笑った。次の休みには、また体を鍛え直すと張り切っている。
理不尽に泣き寝入りせず、正しい順序で向き合えば、相手は必ず引っ込む。それを息子に見せられたことが、何よりの収穫だった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














