「さっき一緒にいたの、誰?」別れたはずの元彼。何度も届くメッセージに言葉が出なかった
届いた一通の夜
その夜、私は残業を終えてくたくたで帰宅した。
湯船に浸かって、ようやく息をついたところでスマホが鳴った。画面に浮かんだ名前を見て、思わず固まる。
数ヶ月前に自分から別れた、元彼だった。
アプリで出会った彼とは、車で数時間かかる距離に住んでいた。
仕事が忙しくなって会えなくなり、私から関係を終えた相手。
今さら何の用だろう。恐る恐るメッセージを開いた。
「今日は帰り遅かったね、お店忙しそうだった」
たった一文に、湯上がりの体が一気に冷えた。
私の帰宅が遅かったことも、職場が混んでいたことも、なぜ彼が知っている。
「久しぶり。元気にしてた?」
挨拶のつもりらしい一言が、続けて届く。
けれどその下に、見透かすような報告がぶら下がっているのだ。何でもない世間話を装いながら、彼は私の今日を細かく言い当てていた。
逐一報告される行動
偶然だと思いたかった。けれど通知は続いた。
「元気そうに働いてたね」
「さっき一緒にいたの、誰?」
その日、私が同僚と並んで駅まで歩いた数分間まで、彼は把握していた。
離れた街にいるはずの人が、私の一日を端から端まで見ている。指が震えて、スマホをうまく持てない。時刻はもう真夜中だった。
「どうやって見てるの。もうやめて」
震える指で打ち込むと、間を置かずに返ってきた。
「責めてるわけじゃないよ。心配で見てるだけ」
見てるだけ、という言葉が、何より恐ろしかった。
本人は親切のつもりなのだ。だから止まらない。部屋の電気を消すのが怖くなって、その夜は明かりをつけたまま、膝を抱えて朝を待った。
窓の外で何かが動いた気がして、息を殺す。
実際には風に揺れる木の影だった。それでも心臓は、痛いくらいに早鐘を打っていた。
自分を守ると決めた
翌日、私は迷わず警察に相談した。
届いた文面の数々を見せると、係の人が静かに言った。
「念のため、すべて記録しておきましょう」
「何かあったら、すぐここに連絡してください」
その言葉に、ようやく一人で抱えなくていいのだと肩の力が抜けた。
家族にも事情を打ち明け、帰り道は人通りの多い道を選ぶようにした。
窓には新しい鍵を足し、玄関にはカメラ付きのインターホンを取り付けた。
連絡は今、ぴたりと止んでいる。それでも、夜道で背後に足音を感じると振り返ってしまう。
「心配で見てるだけ」。あの言葉の不気味さは、鍵をいくつ増やしても消えてくれない。今夜も私は、カーテンの隙間を確かめてから眠りにつく。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














