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2026.06.25(Thu)

「長男の俺が決める。お前らは口を出すなよ!」祖母の遺品を独り占めしようとした叔父。解決しても消えなかった涙のワケ

「長男の俺が決める。お前らは口を出すなよ!」祖母の遺品を独り占めしようとした叔父。解決しても消えなかった涙のワケ

和やかな座敷が一変した瞬間

祖母の七回忌の席で、私はずっと違和感を抑えていた。読経が終わり、親族が座敷でお茶を囲む。久しぶりに顔をそろえた一同で、子どもの頃の思い出話に花が咲く。

そこまでは、穏やかな時間だった。

話題が祖母の遺品整理に移ったとき、叔父が前のめりになった。指輪や掛け軸、簞笥の奥にしまわれていた古い品。どれをどう分けるか、みんなで意見を出し合っていたときだ。

「長男の俺が決める。お前らは口を出すなよ!」

叔父の声が、座敷に響いた。

誰かと相談する気は、最初からないようだった。価値のある物は自分が管理する。叔父はそう繰り返した。

「それは、ちょっと」

母が控えめに口を開いた。祖母の子も孫も大勢いるのだから、みんなで相談して決めたほうがいいと。

ごく当たり前の提案だった。けれど叔父は最後まで聞こうとしなかった。

解決しても消えなかった後味

強い口調にさえぎられ、母は黙り込んだ。

私も、何も言えなかった。祖母の遺影の前で言い争うわけにもいかず、ただ畳の目を数えていた。

叔母たちも気まずそうに目を伏せ、誰も次の言葉を口にできない。

その日は話がまとまらず、重い空気のまま解散した。あれほど和やかだった座敷が、たった数分で別の場所のように変わってしまった。

「お祖母ちゃん、悲しんでるよね」

帰り道、母がぽつりとこぼした。私はうなずくことしかできなかった。

後日、親族全員で席を設け直し、遺品は公平に分けることになった。叔父の言い分が通ることはなかった。話の筋としては、きちんと収まったはずだった。

それなのに、心はちっとも晴れなかった。

形のうえで公平に分けられても、あの法事の場が壊れた事実は元に戻らない。あのときの母の沈んだ泣き顔が、頭から離れなかった。

祖母を静かに偲ぶための一日が、誰かの欲で台無しになった。手元の遺品を見るたびに、あの座敷の凍った空気がよみがえる。

あの場でもっと何か言えていたら、と思うこともある。けれど、今さら巻き戻せるわけでもない。

遺品そのものより、壊れてしまった法事の記憶のほうが、ずっと重く残っている。

今も、すっきりしないままだ。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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