「子供のためなら仕事なんて無理」悪気はないママ友の言葉。だが、幼稚園の行事の準備で考え方が変わった瞬間
笑顔で言われた本音
下の子の幼稚園で親しくなったママ友数人と、ランチをしていた時のことだった。仕事と子育てを両立している私に、一人がふと尋ねてきた。
「お仕事、フルタイムなんだっけ。大変じゃない?」
「うん。でも園のことも、できる範囲で協力してるよ」
そう答えた私に、その人は柔らかく微笑んで言った。
「子供のためなら仕事なんて無理」
否定ではなく、自分の信条を語る口調だった。けれど、続いた一言が胸に刺さった。
「子どもを一番に考えたら、私には選べないなあって」
悪気はないのだ。だからこそ、何も言い返せなかった。働く選択をした自分が、子どもをないがしろにしていると言われた気がした。
「うちは、できる範囲で行事も手伝ってるよ」
やっとそれだけ口にしたけれど、声は小さかった。早朝に弁当を詰め、仕事を終えてから連絡帳に目を通す。そんな毎日の積み重ねを、うまく説明できる自信がなかった。
(働きながら子育てするのって、そんなにいけないことなのかな)
その夜は、なかなか寝つけなかった。
立場が入れ替わった日
その引っかかりが解けたのは、園の大きな行事の準備が佳境に入った頃だった。
準備を取り仕切っていたのは、あのランチの席にいた彼女だった。ところが本番直前、彼女が高熱で寝込んでしまった。
「資料も連絡もあの人任せだったから、もう間に合わないかも」
役員たちがおろおろする中、私は仕事帰りに役員室へ寄った。
「連絡係と資料作り、私がやります。仕事の合間でなんとかします」
段取りを組んで人に伝えるのは、職場で毎日やっていることだ。隙間時間に電話を回し、深夜に資料を仕上げた。行事は、誰も穴に気づかないまま無事に終わった。
後日、熱の引いた彼女が、わざわざ私を訪ねてきた。
「働きながら、私の代わりまで全部やってくれたんだよね。本当にありがとう」
うつむいて、彼女は声を詰まらせた。
「あの時の言い方、ずっと気になってたの」
彼女の頬が、少し赤くなった。
もう、私を測るような目はしていない。きまり悪そうに、それでも真剣に頭を下げた。
「気づいてもらえて、嬉しいです」
私はそう返すだけにとどめた。それ以上、何も言う必要はなかった。長く胸にあったわだかまりが、ようやくほどけていった。
今では彼女のほうから「無理してない?」と気にかけてくれる。決めつけていた人が、誰より頼れる存在に変わっていた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














