「俺は稼いでる、だから小遣い倍にするぞ」と豪語する夫。だが、妻が本当の家計状況を調べた結果
「稼いでる」で押し通す小遣い
夫はお金に厳しい人だった。生活費も私のパート代も、すべて夫の口座で一括管理していた。
私が使える現金は、月ごとに手渡される決まった額だけだった。
ある晩、夫がテレビの前で切り出した。
「俺は稼いでる、だから小遣い倍にするぞ」
理由を聞くと、稼いでいる自分にはその権利があるのだと言う。
私が渋ると、決まり文句が返ってきた。
「養ってもらってる立場で、口出しするな」
その言い方に、私はいつも唇を噛むしかなかった。家計の全体像を知らない私に、返せる言葉はなかったからだ。
一冊のノートを置いた夜
その月から、私はこっそり家計の記録をつけ始めた。
給料の額、光熱費や保険の引き落とし、夫の小遣いと外食代。
レシートを見ながら、数字を一つずつ書き写していった。
最初は自分の気休めのつもりだった。
けれど数字が積み上がるほど、家計の本当の姿が見えてきて、手が止まらなくなった。
数か月分の記録がたまると、収支ははっきりと形になった。
夫の給料は私より多い。それでも、夫の給料から夫の小遣いと趣味の出費を引くだけで、毎月マイナスだったのだ。
その穴を静かに埋めていたのは、私のパート代と切り詰めた食費だった。
夫が小遣いの話をまた蒸し返した夜、私はそのノートを黙ってテーブルに置いた。
「あなたの分は毎月赤字だよ」
夫は笑ってページをめくり、そして手が止まった。
「いや、これは…」と言いかけて、次の言葉が続かない。
「あなたの給料からあなたの出費を引くと、毎月マイナスなの。足りない分を埋めてたのは、私のパート代だよ」
夫はノートを閉じ、天井を見上げたまま黙り込んだ。
反論の材料は、どこにもなかった。
隣の部屋から出てきた息子が、静かに言った。
「母さんが働いてなかったら、うち回ってなかったってことだよね」
夫は何も返せず、小さくうなずくしかなかった。
翌月から、小遣いは二人で額を決めることになった。
通帳も、私が一緒に確認できるようになった。「俺が稼いでる」という言葉を、夫はもう口にしない。
お金の話になると、先に黙り込むのは夫のほうだ。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














