「お菓子分けるね、一緒に見てようか」快く子の面倒を見てくれたママ友。だが、突然よそよそしくなってしまった
観戦仲間になったママ
週末はいつも、長男の少年野球の練習に通っていました。
私は下の子を二人連れているので、グラウンドの隅で見学するのがやっとでした。
ある朝、隣に新しい親子が座りました。少しあとにチームへ入った子のママで、同じ年ごろのきょうだいを連れています。
「もしかして、同じ幼稚園じゃないですか」
「そうなんです。ご近所だったんですね」
話してみれば、通う幼稚園まで同じでした。
それからは、練習のたびに並んで見るようになったのです。
彼女は、子どもを自由にのびのび遊ばせる人でした。うちの子も、そのおおらかさに惹かれて、すぐになついていきます。
「お菓子分けるね、一緒に見てようか」
持ってきたおやつを、うちの子のぶんまで用意してくれるのです。
二人の子を並んで座らせ、グラウンドを眺める姿は、とても温かいものでした。
ただ、私は赤ちゃんも抱えていて、目が届ききりません。
うちの子が練習の邪魔をしないか、整地された土を掘り返さないか、そのたびに声をかけていました。
「うちの子のこと、気にかけてくれてありがとう」
「全然だよ。にぎやかなほうが楽しいもん」
彼女はそう言って、いつも笑ってくれました。私はその優しさに、ずいぶん助けられていたのです。
突然よそよそしくなった朝
そんな日々が、数ヶ月続いたころでした。
彼女は前ぶれもなく、チームを辞めてしまいました。
挨拶もないまま、ただ来なくなったのです。
隣で見ていた別のママが、ぽつりとつぶやきました。
「あのママ、最近見ないね。どうしたのかな」
不思議だったのは、そのあとのことでした。
幼稚園で会っても、目が合うとすっと逸らされるようになったのです。
「おはようございます」
私が声をかけても、彼女は曖昧に会釈するだけで、足早に去っていきます。あの朝の温かさが、嘘のようでした。
(何か、気に障ることをしたのかな)
思い返しても、心当たりがありません。
声をかけすぎたのか、うちの子の面倒まで見るのが、いつのまにか重荷になっていたのか。
答えは、どこにもありませんでした。行事のたびに彼女を見かけては、胸の奥がちくりと痛みます。
けれど、いつまでも下を向いてはいられません。理由の分からないことを、無理に探そうとするのはやめよう。
そう思い直したのです。
人には、言葉にできない事情があるものです。
私は私で、こちらから明るく挨拶をしよう。そう自分の中で決めました。
返事がなくても構わない。そう思えるようになってから、ようやく前を向いて歩けるようになりました。割り切れない気持ちは、そっと胸の隅に置いておくことにしたのです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














