「ただの遊びだった」思わせぶりに近づいた会社の先輩。だが、付き合った彼女にも振られ自滅した結果
距離が縮まった夜
独身時代、同じ部署の先輩に食事へ誘われたことがありました。仕事帰りに二人で入った店で、話は思いのほか弾んだのです。
「君とは、なんだか話しやすいな」
「私も、先輩とだと素で話せます」
グラスを傾けながら、私たちはよく笑いました。
その晩は、これまでの距離が一気に縮まったように感じられたのです。
いずれ二人はそういう関係になるのだろうと、私は勝手に思い込んでいました。
ところが翌週から、先輩の態度は一変しました。廊下で会っても目をそらし、用件だけを事務的に告げて去っていくのです。
「この前は楽しかったですね」
思いきってそう話しかけても、「ああ、そうだったかな」と、まるで他人事のような返事しか返ってきません。
あの夜のやわらかな笑顔は、どこにも見当たりませんでした。
開き直った先輩の末路
ほどなくして、思いがけない話が飛び込んできました。
「先輩、隣の部署の子と付き合い始めたって」
同期が声をひそめて教えてくれたのです。遊ばれただけだった。
そう悟った私は、悔しさを抑えきれず、先輩に直接ぶつけました。
「付き合う気もなかったのに、なんであんなふうに誘ったんですか」
すると先輩は、悪びれるどころか薄く笑って言い放ちました。
「ただの遊びだった」
悪びれもしないその言葉に、私は「そんな人だったんですね」と返すのがやっとでした。
人の気持ちを、こうも簡単に踏みにじれるのかと、あきれ果てたのです。
けれど、そんな身勝手が長く続くはずもありませんでした。
数か月後、先輩は付き合っていたはずの隣部署の女性に振られました。ほかにも同じように誘っていた相手がいたことが、彼女に知られてしまったのだといいます。
「結局、誰のことも本気じゃなかったんでしょ」そんな声が、あちこちで聞こえるようになりました。
かつて冗談を言い合っていた同僚も、今はそっけない返事をするばかりです。
先輩は日に日に生気をなくし、フロアの隅で小さくなっていきました。ある朝、私に向かってばつが悪そうに会釈をしてきましたが、以前のような余裕はどこにもありません。
「…この前は、言いすぎた。悪かった」
絞り出すようなその一言にも、私は表情を変えず、軽く頭を下げただけで通り過ぎました。今さら謝られたところで、揺れる気持ちなど残っていなかったのです。
誰かを弄んだつけは、めぐりめぐって自分に返る。先輩は、自らまいた種で足をすくわれたのです。私はもう、あの人に心を動かされることはありませんでした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














