夫「抱っこは俺の担当でね」→「ママがいつも抱っこしてるよ」と息子がバラした→義実家でのイクメン芝居が崩れた夜
義実家での張り切りよう
その日、私たちは家族で義実家を訪れていた。玄関をくぐった瞬間から、夫の様子はいつもと違った。家ではソファから動かない人が、急にきびきびと動きだすのだ。
義母が下の子をあやそうとすると、夫がすかさず割って入った。
「抱っこは俺の担当でね」
そう言って、慣れない手つきで子どもを抱き上げる。続けて、得意げに義両親へ語りかけた。
「うちはこうやって、けっこう分担してるんだ」
義母は「まあ、いい旦那さんねえ」と顔をほころばせる。私は隣で、ただ黙ってお茶をすすっていた。家での夫を知っていれば、これがどれだけの芝居か一目でわかる。
(家では、抱っこどころかゴミ出しでドヤ顔してるのに)
息子の正直な声
夫の演技は止まらない。今度は、そばで遊んでいた息子に水を向けた。
「な、パパっていつも抱っこしてくれるよな?」
同意を引き出すつもりだったのだろう。けれど息子は、おもちゃから顔を上げると、不思議そうに首をかしげた。
「ママがいつも抱っこしてるよ」
場の空気が、ぴたりと止まった。夫の笑顔が、貼りついたまま動かなくなる。
「パパは座ってテレビ見てるじゃん」
追い打ちのような一言に、義母と義父が顔を見合わせた。子どもは嘘をつかない。取り繕いようのない真実が、たった二言で部屋に転がり出てしまった。
崩れた芝居の夜
夫の顔が、見る間に赤くなっていった。何か言いかけては口ごもり、結局うつむいてしまう。
「……まあ、最近はちょっと忙しくてな」
苦しい言い訳に、義母はやんわりと首を振った。
「ちゃんと手伝ってあげなさいよ。奥さん、お仕事もしてるんだから」
義父も腕を組んで、「親の前だけ格好つけるな」と一言。普段は息子に甘い二人が、そろって夫をたしなめている。私はその光景を、少しだけ痛快な気持ちで眺めていた。
帰り道、夫はばつが悪そうに黙っていた。やがて、独り言のようにつぶやく。
「……家でも、もう少しやらないとな」
その夜から、夫は少しずつ動くようになった。劇的に変わったわけではない。それでも、皿を洗い、子どもをお風呂に入れる姿が、ぽつぽつと増えていった。
何度言っても通じなかったことを、息子の正直なひと言が、あっさり変えてくれたのだった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














