「間違いを認めろ!寝るのは後だ」些細な喧嘩で1時間説教した夫。だが、5歳の息子の涙で言葉を失った
些細な喧嘩が長引く夜
結婚して長いが、夫の悪い癖は、ちっとも直らなかった。
ほんの小さな喧嘩でも、いったん火がつくと、延々と説教が続くのだ。
その日も、始まりは本当に些細なことだった。
夕飯の片づけの順番。ただそれだけのことで、夫の機嫌はみるみる悪くなっていった。
「君は、いつもそうやって自分を正当化する」
話題は、次から次へと横道にそれていく。過去の出来事まで引っぱり出しては、私の非をあげつらう。
もとはといえば、勝手に機嫌を損ねたのは夫なのに、話が進むうちに、なぜか私が加害者にされていた。
私は、ため息を押し殺すのに必死だった。
「疲れたでしょう。今日はもう、この辺にしない?」
やんわりそう促しても、夫は聞く耳を持たない。それどころか、声を一段と強めて言った。
「間違いを認めろ!寝るのは後だ」
1時間続いた言い分
気づけば、説教が始まってから1時間が経っていた。同じ主張を、言い回しだけ変えて、夫は繰り返し続ける。
「俺は理不尽なことを言ってるか?言ってないだろう」
「言ってない。だから、もう休みましょう」
「その返事が、投げやりなんだよ」
「投げやりにもなるよ。もう何時だと思ってるの」
「時間の問題じゃない。中身の問題だ」
何を答えても、揚げ足を取られて話が戻る。まるで出口のない迷路だった。壁の時計の針が進む音だけが、やけに大きく聞こえていた。
5歳の息子の涙
そのときだ。寝ていたはずの5歳の息子が、寝室のドアから顔を出した。
パジャマ姿で、頬にはもう、大粒の涙が伝っている。
息子は、ぐずるような声で、夫にこう訴えた。
「パパのおおきいこえ、こわい」
饒舌だった夫が、はっと息をのんだ。自分の声が、幼い我が子をここまで怯えさせていた。その事実に、ようやく気づいたようだった。
「…ごめん。パパ、大きい声、出しすぎたな」
しゃがんで息子を抱き寄せる夫は、もう、さっきまでの勢いを完全に失っていた。あれほど並べ立てていた正論は、どこかへ消えてしまったらしい。
「パパも、ちゃんとわかったって。ね、一緒に寝よう」
私がそう言うと、夫は小さくうなずくだけで、もう何も言い返さなかった。さっきまで理路整然と正しさを説いていた口は、すっかり動かなくなっている。
子どもの涙ひとつで、彼はようやく言葉を失ったのだ。その夜以来、深夜まで続いていた長い説教は、二度と現れなくなった。あんなに欲しがっていた勝ちよりも、大切なものに気づいたのかもしれない。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














