「ベランダで話すくらいいいじゃない」深夜に響いた隣人の話し声。だが、注意された隣人の態度に絶句
壁越しに毎晩、他人の通話を聞かされる
マンション暮らしにも慣れてきたころ、私の眠りを奪ったのは隣室の住人の電話だった。
その人は夜になるとベランダに出て、大きな声で誰かと話し込む。
平日は23時を過ぎても、休日にいたっては夜中の1時になっても、笑い声と話し声が窓越しに響いてきた。窓を閉めきっていても、会話の中身までしっかり届くのだ。
相手が誰なのか、どんな仕事の愚痴なのか、望んでもいないのに毎晩耳に入ってくる。私の寝室はベランダのすぐ隣で、逃げ場がなかった。
寝つけない夜が重なり、翌朝の目覚めは重く、日中も集中が続かない。隣人と気まずくなるのが怖くて、私はただ布団の中で時間が過ぎるのを待つばかりだった。
それでも、直接文句をぶつける勇気はなかなか出なかった。
このまま我慢し続けても、体を壊すだけだ。そう考えた私は、感情的にぶつかる前に管理会社へ相談する道を選んだ。
顔を合わせて苦情を言えば、この先ずっと気まずい関係が続く。それだけは避けたかった。数日後、住民全員に向けて「深夜の騒音にご配慮を」という注意文が配られた。
だが、当の隣人はどこ吹く風で、その夜も変わらず長電話を続けていた。
たった一本の連絡が、翌日を変えた
全体への呼びかけでは響かないと分かり、私は改善しない現状をもう一度管理会社に伝えた。すると担当者は、隣室へ個別に連絡を取ってくれた。
私の名前は出さず、あくまで管理側からの一報として、静かに事情を伝えてくれたのだという。
その連絡を受けた隣人は、たまたま玄関先で会ったとき、こちらに当てつけるようにつぶやいた。
「ベランダで話すくらいいいじゃない」
ふてくされた口ぶりに、私は正直ひやりとした。
開き直って、かえって嫌がらせに転じる人もいると聞く。身構えながら迎えたその夜、私の心配は杞憂に終わった。
個別の一報が入った翌日から、ベランダの電話は驚くほどぴたりとやんだのだ。毎晩響いていた笑い声が消え、夜中の1時になっても部屋は静まり返っている。
あれほど張りつめていた耳が、ようやくほどけていくのを感じた。久しぶりに、朝までひと続きに眠ることができた。
もし正面から言い合っていたら、しこりの残る近所トラブルになっていたに違いない。第三者の一言が、角を立てずに相手を黙り込ませてくれた。
困ったときは我慢でも対決でもなく、頼れる窓口に託すのが一番だと、心から実感した。あの夜の静けさは、勇気を出して相談した自分への、ささやかなごほうびのように感じられた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














