「毎月3万ずつ返す、必ず返すから」いとこに貸した30万円。返ってこなかった金額に対して告げた母の考えとは
判子を押さなかった紙
いとこにお金を貸したのは、5年前のことです。急に車が動かなくなって修理代がいるという話で、頼まれた金額は30万円でした。
「毎月3万ずつ返す、必ず返すから」
「1年でいいよ。きつい月は少なくてもいいから」
台所のテーブルで、紙に日付と金額を書きました。
判子は押さず、二人で名前だけ入れています。身内相手に借用書というのが、そのときは大げさに思えたんです。
いとこはその紙をたたんで財布にしまい、帰り際に何度も礼を言いました。子どもの頃、夏休みのたびに一緒に川へ連れていってもらった相手です。
困っているなら出すのが当たり前だと、そのときは本気で思っていました。
通帳の同じ行が空いたまま
入金があったのは、一回目と二回目だけでした。三か月目から、通帳が空いたままになります。
連絡をすれば、返事はすぐ来ました。
「今月は無理。来月には必ず入れる」
「来月って、先月もそう言ってたよね」
「家族なのに冷たいこと言うなよ」
そこで話が終わってしまいます。悪い人ではないのに、返せなくなったところから開き直ってしまった。
そんな印象でした。夫は何も言いませんでしたが、通帳を開く回数が増えた私を見て、一度だけ聞いてきました。
「あれ、いくら戻ってる?」
「15万。ちょうど半分」
1年の期限は、催促のたびに少しずつ後ろへずれて、そのまま過ぎました。
判子も押さずに二人で名前を書いたあの紙が、何の役にも立たないことだけは分かりました。
母に言われて、線を引いた
法事の帰り道、母と並んで歩きながらその話をしました。母は驚きもせずに聞いていました。
「お金を貸す時はね返ってこなくても平気な額を、あげるつもりで渡すの」
「返してもらう前提だと、お金より先に、その子との関係が減っていくから」
減っていく、という言い方がしばらく耳に残りました。
私は残りの15万円を、あげたことにすると決めたんです。
翌月、いとこから短い連絡が来ました。
「もう少しだけ待って。必ず返すから」
「残りはもういい。そのかわり、次はないからね」
返事は来ませんでした。それきり、お金の話は出ていません。
親戚の集まりでは今も同じ座敷に座りますが、いとこは私と目が合うと、先に会釈をして視線を外します。
戻らなかった15万円は、高い授業料でした。あげられる額しか出さない。30万円が私に教えてくれたのは、それだけです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














