「女遊びの過去を聞かされてる」凍りついた披露宴。だが、新婦側の一言が空気を変えた瞬間
新婦側の席で
いとこの披露宴で、私は新婦側の親族としてテーブルに着いていました。花嫁となる従妹は、幼い妹のように可愛がってきました。
晴れ姿を前に、私は朝から胸をいっぱいにしていました。
披露宴は和やかに進み、やがて新郎の友人が祝辞に立ちます。マイクを握った男性は、なかなか話し上手のようでした。
会場のあちこちから笑いが起こり、はじめのうちは私も一緒に微笑んでいました。従妹の幸せそうな横顔を眺めながら、ようやくこの日が来たのだと、しみじみ噛みしめていたのです。
笑えなかった暴露
ところが話が進むにつれ、内容がだんだん怪しくなっていきます。友人は新郎の昔の恋愛を、面白おかしく並べ立て始めたのです。
付き合った相手が何度も変わったこと、その武勇伝めいた話を、悪びれもせず披露していきます。新郎側の席はどっと沸きましたが、新婦側のテーブルは、誰ひとり笑えませんでした。
笑い声が大きくなるほどに、私たちの側の沈黙は際立っていきます。祝いの席にはふさわしくない話題に、どんな相槌を打てばいいのかも分かりませんでした。
(女遊びの過去を聞かされてる)
花嫁がこんな話を聞かされて、どんな気持ちでいるだろう。私の胸には、そんな思いばかりがこみ上げてきます。従妹はけなげに笑顔をつくっていて、その健気さが、かえって痛々しく感じられました。
伯母の温かな一言
重くなった空気を変えたのは、司会でも新郎側でもありませんでした。新婦側の末席にいた、従妹の伯母にあたる年配の女性が、穏やかに口を開いたのです。
「それだけ大切に想われて、この子のところへ来てくれたのね」
張りつめていた場が、その一声でふっとゆるみます。伯母はにこやかに新郎へ向き直り、言葉を継ぎました。
「たくさんの出会いを経て、最後にうちの子を選んでくれた。こんなに嬉しいことはありませんよ」
とげのない、それでいて芯のある言葉でした。新郎側も新婦側も、誰もがほっとしたように笑顔を取り戻します。
従妹の目には、うっすらと涙が光っていました。責める調子はひとつもないのに、暴露で下がりかけた場の空気を、やわらかく引き上げてしまう。その一言の力に、私はただ驚くばかりでした。
気まずさを祝福へと変えた伯母の機転に、私は深く感じ入ったのでした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














