「私、よくわからないの」何度説明しても伝わらない電話先の客。だが、先輩のアドバイスで状況が一変
何度伝えても、同じところで話が止まった
通信販売のお客さま窓口で電話を受けていたときのことです。その朝、最初に取った電話が、なかなか噛み合いませんでした。
お客さまは、届いた請求書について確認したいことがあるようでした。
詳しくうかがっていくと、その内容は私たちの窓口ではなく、請求書に記載されている別の問い合わせ先で受け付けるものだと分かりました。
「私、よくわからないの。請求書に書いてある番号にかけたんだけど」
請求書には、問い合わせ内容ごとに複数の電話番号が載っていました。どうやら、お客さまは別の番号を見て電話をかけていたようです。
私は正しい問い合わせ先をお伝えしました。
「恐れ入ります。今見ていらっしゃる番号ではなく、別の問い合わせ先へお電話をお願いいたします」
ところが、うまく伝わりません。
場所を言い換えて説明し、今度は電話番号を一桁ずつ読み上げました。それでも、お客さまは「どこを見ればいいの」と戸惑っています。
同じ説明を繰り返しているうちに、私もどう伝えればいいのか分からなくなってきました。
そのとき、隣の席の先輩が小さな声で話しかけてきました。何度も同じ番号を読み上げていたので、対応が長引いていることに気づいたようです。
「紙とペンがあるか聞いてみたら?一桁ずつ書いてもらうと分かりやすいかも」
その言葉を聞いて、私はすぐにお客さまへ尋ねました。
受話器の向こうから、鉛筆の音が聞こえた
「もし紙とペンがお手元にありましたら、番号を書きながら一緒に確認していただけますか」
受話器の向こうで、少し間がありました。
やがて引き出しを開けるような音と、紙を探す音が聞こえてきます。
「あったわ」
「ありがとうございます。では、ゆっくり一桁ずつ読みますね」
私は数字を一つ読み上げるたびに少し待ちました。電話の向こうから、鉛筆を動かす音が聞こえます。
最後まで書き終えたところで、請求書に載っている番号と見比べてもらいました。
すると、お客さまが「あら」と声を上げました。
「私、違うところを見てたのね」
いくつか並んでいる問い合わせ先のうち、別の欄を見ていたことに、ご自身で気づかれたようでした。
「これなら分かるわ。ありがとう」
電話が切れ、私は受話器を戻しました。ずっと力が入っていた肩が、ようやく軽くなった気がしました。
隣の先輩にお礼を言うと、「口で聞くだけだと分かりにくいこともあるからね」と笑っていました。
あのとき私は、どう言い換えれば伝わるのかばかり考えていました。でも、同じ説明を繰り返すより、受け取る方法を変えたほうが伝わることもあります。
それ以来、電話で説明が噛み合わないと感じたときは、必要に応じて紙に書きながら確認してもらう方法も提案するようになりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














