「結婚したら、ここ辞めちゃうんでしょ?」採血中まで連絡先を要求する男性。だが、翌年から態度が変わった理由
健診のたびに繰り返される質問
今の私は30代ですが、これは20代のころ、病院の健診センターで人間ドックの看護師をしていたときの話です。
毎年受診する方も多く、顔なじみの方とはちょっとした世間話をすることもありました。
その中に、50代の男性がいました。男性は健診に来るたびに、私に個人的な連絡先を聞いてきたのです。
「お姉さん、連絡先くらい教えてよ」
「すみません。そういうことはお答えしていないんです」
何度断っても、翌年にはまた同じことを聞いてきます。
仕事として丁寧に接しているだけなのに、男性には親しさの表れとして受け取られているようで、私は困っていました。
ある年の健診でも、男性の血圧を測っていると、突然こんなことを聞かれました。
「恋人はいるのか」
私は答えずに測定結果を記録しました。すると男性は不満そうな顔をして、こう言いました。
「つれないなあ。毎年来てやってるのに」
毎年来ているからといって、連絡先を教えなければならないわけではありません。
それでも男性は、私が断っていることをあまり気にしていないようでした。
採血中も身を乗り出す男性
その後の採血も、私が担当することになりました。
男性は採血室の椅子に座ってからも、相変わらず個人的な質問を繰り返していました。
「結婚したら、ここ辞めちゃうんでしょ?だったら今のうちに教えといてよ」
私は必要な声かけだけをして、採血を始めました。
ところが、針を刺した後も男性は話しかけてきます。こちらの顔を見ようと上体を前に傾けたため、腕まで動いてしまいました。
針が入っている状態で腕を動かされるのは危険です。
私は針がずれないよう注意しながら、男性に声をかけようとしました。
そのとき、隣の席にいた50代のベテラン看護師が、すぐに声をかけてくれたのです。
「動かれると針が危ないので、採血が終わるまでは腕を動かさないでくださいね」
穏やかですが、はっきりとした口調でした。
男性は少し不満そうな顔をしたものの、動きを止めました。
私はそのまま採血を終え、針を抜いて止血しました。
すると男性が、先輩に向かって口を開きました。
「なんだよ、ちょっと聞いただけだろう」
先輩は落ち着いた声で答えました。
「それと、職員の連絡先は、どなたにもお教えしていません」
男性は一瞬言葉に詰まり、そのまま黙り込んでしまいました。
入口で順番を待っていた人たちも、ちらりとこちらを見ています。
先輩は声を荒らげることもなく、必要なことだけを伝えていました。
男性はそれ以上何も言わず、私たちと目を合わせることもなく採血室を出ていきました。
翌年から変わった採血の担当
翌年から、その男性の採血は先輩が担当することになりました。
男性が健診に来る日は、私は別の検査室に回るようになり、顔を合わせることもなくなりました。
先輩が担当の割り振りを調整してくれていたのです。
後から先輩に聞いたところ、男性は以前のような質問をすることもなく、黙って腕を差し出していたそうです。
私は先輩にお礼を伝えました。
すると先輩は笑って私の背中をぽんとたたき、こう言いました。
「困ったときは、我慢しないですぐ言いなさい」
その言葉を聞いて、もっと早く相談してもよかったのだと思いました。
仕事だからといって、何でも我慢する必要はありません。困ったときに頼れる先輩がいてくれたことが、本当にありがたかったです。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














