「ちょっと、子どもの前で何してるの!?」子供の宝物を壊した夫。我慢出来ずに家庭内別居した結果
娘が今も口にする一言
おもちゃ箱を片づけていると、娘が壊れたおもちゃを拾い上げた。真ん中で折れた、お気に入りだったものだ。
「これパパが壊したよね」
三歳の娘は、一年経った今も、あの日のことを忘れていない。私は何度この言葉を聞いただろう。そのたびに、胸の奥がきしむ。
義両親との同居が始まってから、夫は何かと荒れた。狭い家の中で、苛立ちの行き場がなかったのかもしれない。あの日も、義両親と揉めたあとだった。
娘がいちばん大切にしていたおもちゃを手に、夫のそばを通りかかった。
次の瞬間、夫はそれを取り上げ、苛立ちをぶつけるように真っ二つに折った。そのまま家具にも当たり、鈍い音が部屋に響く。娘は声も出せず、立ちすくんでいた。
「ちょっと、子どもの前で何してるの!?」
「物に当たっただけだろ」
夫はそう言って終わらせた。けれど、娘の記憶はそう簡単には終わらなかった。
「へぇー」で済ませた人たち
娘はあるとき、義両親にもそのことを話した。「パパがこれ、壊したの」と。
「へぇー」
返ってきたのは、それだけだった。
孫の小さな声に、誰も耳を傾けようとしない。私はそのとき、はっきりと悟った。この家で娘を守れるのは、私しかいない。
その夜、私は夫に向き合った。
「家の上下階で、生活を分けようと思う」
「いきなり何なんだ。本気で言ってるのか」
「本気よ。この子の前で、もう二度とあんなことはさせない。そのために決めたの」
夫は反論しかけて、口を開いた。
けれど、私の後ろから不安そうにのぞく娘と目が合った瞬間、その言葉は止まった。視線をさまよわせ、夫はそのまま黙り込んだ。
何も言い返せないまま、ただ立ち尽くしていた。
戻ってきた静かな日常
翌朝、私と娘は階下での生活を始めた。同じ屋根の下でも、過ごす場所も時間も、きっぱりと分けた。
派手な別れでも、争いでもない。ただ、娘が怯えずに過ごせる場所を、もう一度作り直しただけだ。
下の階で、娘はのびのびとおもちゃを広げて遊んでいる。物音に身をすくめることも、誰かの機嫌を気にすることもない。
「ママ、こっち来て。一緒に遊ぼう」
無邪気な声が、部屋いっぱいに響く。私はその隣に座り、ようやく肩の力が抜けるのを感じた。
あの折れたおもちゃも、いつのまにか娘の口に上らなくなっていた。
「今度のお人形、大事にするね」
「うん、ママと一緒にね」
ときおり、階段の上から夫の足音が聞こえる。けれど、降りてくることはもうない。下の階には、子どもの笑い声が戻っていた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














