
当事者不在の「正義」が行政をすり減らす、野生動物対応とクレーム問題のジレンマ
6月上旬、宇都宮市の中心部である県庁周辺や最大の繁華街「オリオン通り商店街」にクマが出没するという、前代未聞の事態が発生しました。
市は市民の命を守るため、麻酔銃で捕獲したのちに殺処分を決断しましたが、この苦渋の対応に対して市外から非難の嵐が殺到したのです。
市役所に寄せられた400件以上の問い合わせのうち、実に約7割が「山に放すべき」「動物園で預かれないのか」といった殺処分へのクレームでした。
中には30分以上にわたり、対応にあたった職員の人格を否定するような暴言を吐き続ける悪質なケースもありました。
市民の日常を守るために奔走した現場に、あまりにも理不尽な重圧がのしかかっているのが現状です。
SNS上では厳しい意見が続いています。
『批判する奴は家族ぐるみで熊のいる所に住んでから言えよ』
『まずは市内に住んでいる人達の安全が最優先だろ。自分の身に起こらないとわからないのかな?』
『これいちいち市役所が対応するのもすごい大変だな。クマと人間は共存できない』
『安全圏からただの感情論で余計なこと言ってくる人間って被害に遭う可能性のある該当地域の人間からしたらクマ以上に迷惑』
誰もが自由に意見を発信できる時代だからこそ、現場の対応を妨害する過剰なクレームの存在が浮き彫りになります。
限られた人員と予算のなかで地域住民の安全を確保しなければならない自治体にとって、長時間にわたる理不尽な電話対応は、莫大な時間的コストと人的リソースの浪費を意味します。
税金を用いて本来なすべき市民サービスや危機管理に向けるべき労力が、部外者の感情的な憂さ晴らしのために削られているという事実は、決して見過ごすことはできません。














