「孫の顔はまだなの?」帰省のたび責める義母。だが、かばってくれた夫に救われた瞬間
8年続いた無言のプレッシャー
結婚して8年、夫の実家への帰省は私にとって少しだけ気が重い行事でした。理由はいつも同じ。義母の決まり文句です。
「孫の顔はまだなの?」
挨拶もそこそこに、義母はそう言って私の様子をうかがいます。盆も正月も、欠かさずこの一言。私は曖昧に微笑んで受け流すしかありませんでした。
「いつかは、と思ってます」
子どものことは、夫と二人でゆっくり考えていきたい。
そう思っていても、面と向かって義母に言い返す勇気は出ませんでした。
角が立つのが怖くて、毎回笑顔の仮面をかぶってやり過ごしていたのです。
夫はそういう場面で、いつも黙ってお茶を飲んでいました。私も「言わないで」と頼んだことはありません。だから、この空気はこの先もずっと続くのだと半ばあきらめていました。
帰省の前夜になると、決まって寝つきが悪くなります。明日もまたあの質問をされるのかと思うと、布団の中でつい身構えてしまうのです。
夫に打ち明けようかと何度も思いましたが、彼を母親との板挟みにするのも気が引けて、結局いつも飲み込んでいました。
食卓を変えた夫の声
転機は、8年目のお正月でした。
おせちの並んだ食卓で、義母がいつもより踏み込んだ言い方をしてきたのです。
「もう何年も経つのよ。孫の顔はまだなの?」
その言葉に、私は思わず箸を止めました。返す言葉を探していると、隣に座っていた夫が湯呑みを置いて、静かに口を開いたのです。
「妻を急かさないで」
「これは二人で決めることだから」
はっきりとした、けれど穏やかな声でした。
義母は虚を突かれたように瞬きをして、開きかけた口を閉じました。
「……そうね。私、ずっと無神経だったわね。ごめんなさい」
義母はばつが悪そうに目を伏せ、それから私のほうへ小さく頭を下げました。
隣の義父も「そうだ、放っておいてやれ」と苦笑いでうなずきます。張りつめていた食卓の空気が、ほどけていくのが分かりました。
私は慌てて「いえ、お気持ちは嬉しいんです」と返しながら、それ以上は何も言いませんでした。長年言えなかったことを、夫がたった二言で片づけてくれた。その事実だけで十分でした。
「よく言ってくれたね」
帰り道、助手席でそう伝えると、夫は照れたように笑いました。
「ずっと我慢させてたんだろ。気づいてたのに、遅くなった」
あれ以来、義母は二度とあの話題を口にしません。帰省のたびに身構えていた私は、ようやく実家の玄関を素直な気持ちでくぐれるようになりました。味方は、思っていたよりずっと近くにいたのです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














