「文句があるなら、あんたが出て行け」深夜に共用廊下で喧嘩しているカップル。だが、管理人の正論で状況が一変
深夜2時に怒鳴り合うカップル
以前住んでいた集合住宅で、忘れられない夜があります。
当時の私は40代の会社員で、翌朝も早い勤務を控えていました。
同じ階に、同棲しているらしいカップルがいました。
その二人が酒に酔うと、決まって派手な喧嘩を始めるのです。
その晩は、深夜2時を回っても声がやみませんでした。しかも部屋の中だけでは飽き足らず、共用廊下にまで出てきて怒鳴り合っているのです。
さすがに耐えかねて、私は寝床を出ました。
廊下に顔を出し、もう遅い時間だから静かにしてほしいと、できるだけ穏やかに頼んだつもりでした。
ところが、振り返った女性の反応は予想外のものでした。
私をにらみつけ、吐き捨てるように言ったのです。
「文句があるなら、あんたが出て行け」
酔いも手伝ってか、聞く耳などまるでありません。隣で男性も気色ばんでおり、これ以上言い返せば掴みかからんばかりの剣幕でした。
下手に刺激するのは得策ではない。私は言葉を飲み込み、いったん自室へ引き下がるしかありませんでした。
10分ほど様子を見ましたが、声は一向にやむ気配がありません。
管理人が現れて沈黙
30分近く経っても、廊下からは怒声が響き続けています。
眠れないのは私だけではないはずだと思い、私は建物の管理人さんに連絡を取りました。
しばらくして、上着を羽織った初老の管理人さんが現れました。
長年この建物を見守ってきた、住人みなが顔を知る人です。
管理人さんは二人の間に割って入ると、声を荒らげるでもなく、ただ静かに告げました。
「こんな時間ですよ。ほかの方も休んでいます」
不思議なもので、あれほど気の立っていた二人が、その一言で憑き物が落ちたように黙り込みました。
管理人さんの落ち着いた物腰に、毒気を抜かれたのでしょう。
女性は気まずそうに目をそらし、男性の腕を引いて部屋へ戻っていきました。廊下は、何事もなかったかのように静けさを取り戻したのです。
翌日以降、あの二人が深夜に騒ぐことはなくなりました。廊下で私と会うと、決まり悪そうに会釈だけして通り過ぎるようになったのです。
結局その二人は、ひと月ほどして退去していきました。理由は分かりませんが、静かな夜が戻ったことに、私はただほっとしたのを覚えています。
あの夜、自分ひとりで解決しようとせず、間を取り持つ人に任せたのは正解でした。当事者ではない誰かが立つだけで、角を立てずに収まることもある。そう実感した出来事です。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














