「2人がかりで、部屋から運び出されたよ」実の兄の精進落としで酔いつぶれた弟。終始酔い潰れた姿に感じた本音
静かなはずの精進落とし
祖父を見送った日の、精進落としの席でのことです。
読経も火葬も終え、あとは親族で故人を偲びながら、静かに食事をするだけのはずでした。
広間には、遠方から集まった親族が顔をそろえていました。
久しぶりに会う顔もあり、祖父の思い出を語り合う、落ち着いた時間が続いていたのです。
私は末席のほうで、伯母たちの昔話に耳を傾けていました。
祭壇に飾られた祖父の遺影も、どこか穏やかに見えたほどです。悲しみの中にも、どこかほっとするような、そんな席だったと思います。
酔いつぶれていく親戚
異変に気づいたのは、上座のあたりがざわつき始めたときでした。
祖父の弟が、いつのまにか、ずいぶんと酒を過ごしていたのです。
その人にとって、亡くなった祖父は実の兄にあたります。
もともと、少し風変わりなところがあると聞いてはいました。
それでも、まさかこの席で酔いつぶれるとは、思ってもみませんでした。
ろれつが怪しくなり、体が左右に揺れています。
周りの人が「そろそろお茶にしましょう」と声をかけても、うまく耳に入っていない様子でした。
近くにいた親族が、そっと湯呑みを差し出します。
けれど、もう座っているのもやっとで、テーブルに手をついてうなだれてしまいました。
介抱しようにも、本人は目を閉じたまま、されるがままになっていたのです。
私が驚いた光景
とうとう、大叔父は自分では立ち上がれなくなりました。
見かねた孫と、もうひとりの親族が、両側から肩を貸します。
そうして、酔いつぶれた大叔父は、2人がかりで部屋の外へと連れ出されていったのです。
「失礼だから」と小さくたしなめる声だけが、静けさの中に響いていました。
その光景を、私はただ呆然と見つめていました。
あとになって、私はこの日のことを、姉にぽつりと打ち明けたのです。
「2人がかりで、部屋から運び出されたよ」
姉は「実の兄のお葬式で、よりによってねえ」と、ため息をつきました。誰かを強く責めたいわけではありません。悪い人ではないことも、よく分かっているのです。
ただ、祖父を静かに送りたかったあの日に、あんな騒ぎになってしまったこと。そのことだけが、今もどこか、私の胸に引っかかったままなのです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














