「ここに来ないで」砂場へ入った娘を追い払う子供。スマホから顔を上げない親に、感じた違和感とは
楽しみにしていた砂場で
休日の午後、私は四歳の娘と近所の公園へ出かけました。
娘は家から持ってきた小さなバケツとスコップを抱え、入口を入るとまっすぐ砂場へ向かいました。
砂場では、娘と同じくらいの年齢の男の子が遊んでいました。
おもちゃのトラックや型抜きがいくつも置かれていましたが、砂場全体を埋めるほどではありません。
娘は男の子から少し離れた端に座り、自分のスコップで砂を掘り始めました。
すると、男の子が立ち上がり、娘の前まで歩いてきました。
「ここに来ないで」
娘は驚いて手を止めました。
「なんで、こっちは使ってないよ」
娘が小さな声で答えると、男の子は首を横に振りました。
「砂場は僕が使ってるの。あっち行って」
娘は困ったように私を見上げました。私は娘のそばにしゃがみ、相手の子を刺激しないよう、落ち着いた声で話しかけました。
「ここはみんなで遊ぶ場所だから、少し離れたところを使わせてね」
しかし、男の子は返事をせず、娘の前におもちゃのトラックを置きました。これ以上入ってこないよう、境目を作っているように見えました。
ベンチの親はスマホを見たまま
砂場のすぐ横には、遊具のほうを向いたベンチがあります。
そこに座ってスマホを見ている女性が、男の子の母親らしいと気づきました。
ときどき男の子がその女性を「ママ」と呼んでいたからです。
女性との距離は数メートルほどでした。男の子の声も聞こえているはずでしたが、女性は画面を操作したまま顔を上げません。
声をかけようか迷いました。
ただ、子ども同士のやり取りにどこまで口を出すべきなのか判断できませんでした。私が注意したことで、かえって険悪な雰囲気になるのも避けたいと思ってしまったのです。
その間にも、男の子は娘の近くへおもちゃを並べていきました。
娘はスコップを握ったまま、黙って砂場の外へ出ました。
「ママ、すべり台に行こう」
その声を聞き、私は無理にここで遊ばせる必要はないと思いました。
「そうしようか」
娘のバケツについた砂を軽く払い、二人ですべり台のほうへ移動しました。
砂場を離れるとき、私はもう一度ベンチを見ました。女性は変わらずスマホを見ていて、私たちが移動したことにも気づいていないようでした。
すべり台へ向かう途中、娘がぽつりと言いました。
「一緒に遊びたかっただけなのにね」
私は「そうだね」と答えることしかできませんでした。
相手の親へひと言伝えていれば、状況は変わったのかもしれません。それでも、その場で言葉にできなかった自分の判断が正しかったのか、今でも分かりません。
その後も娘とは同じ公園へ行っています。ただ、砂場に誰かいると、私は以前より少し慎重に様子を見るようになりました。
子ども同士でうまくいかないことは珍しくありません。それでも、すぐ近くにいる親が一度も顔を上げなかったことだけは、今も少し心に引っかかっています。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














