「今日は作業していません」また届いた騒音の苦情。だが、私が一枚の紙を持って管理人のもとへ向かった理由
作業していない日に、また苦情が来た
マンションの自室で小物を作るのが、長いこと私の休日の楽しみでした。小さな木片を削り、紙やすりで表面を整える。大きな機械を使うわけではありませんが、床や壁を通して音が響くことはあるようでした。
ある日、管理人さんが部屋まで来ました。
「作業音が響いているというお話が来ていまして」
私は謝り、それからは夜には作業をせず、昼間でも長時間続けないように気をつけるようになりました。
ところが数週間後、また玄関のチャイムが鳴りました。
「今日も音が気になるという連絡がありました」
その日は、まだ道具を出していませんでした。
「今日は作業していません」
思わずそう答えると、管理人さんも困ったような表情をしました。
「どこから響いているかまでは分からないんです。ただ、ご相談があったのでお伝えしています」
そこで私は、聞こえている音がすべて自分の部屋から出ているとは限らないのだと気づきました。一方で、私自身もいつ作業したのかを正確に説明できませんでした。
それからは、木を削った日と時間を手帳に残すことにしました。
土曜日の午後に二時間。その翌週は作業なし。その次は一時間だけ。書き残してみると、自分でも作業した時間がはっきり分かるようになりました。
一枚の紙を持って、管理人のもとへ向かった
何週間か記録を続けたあと、私は一枚の紙を持って一階へ降りました。
紙には、休日に木工作業をすることがあり、その場合も土曜日の午後の短い時間に限ることを書いていました。
管理人さんに見せながら尋ねました。
「こういう内容を、掲示板に出しても大丈夫ですか」
管理人さんは紙を読んでから、「これなら大丈夫ですよ」と答えてくれました。
誰かへの反論も、苦情への言い訳も書きませんでした。ただ、作業する可能性のある時間帯を知らせるだけです。
もちろん、張り紙をしたからといって音がなくなるわけではありません。私も作業時間をできるだけ短くし、床には厚めのマットを敷くようにしました。
その後も一度、管理人さんから音について確認されたことがあります。
けれど、その日は手帳を見ると作業をしていませんでした。
「その時間なら、うちではないですね」
記録を見せると、管理人さんも「では、別の音かもしれませんね」と答えました。
それからは、以前のように私の部屋の音だと決めつけて話が進むことはなくなりました。
私も以前は、苦情を伝えられるたびに「自分ではない」と言い返すことしか考えていませんでした。でも、言葉だけではお互いに確かめようがありません。
作業する時間を決め、記録を残し、周囲にも分かる形にする。そうしてから、玄関先で同じやり取りを繰り返すことはなくなりました。
今も休日には、ときどき木を削っています。以前より作業する時間は短くなりましたが、そのくらいが自分にも周りにも、ちょうどいいのだと思っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














