「私、距離近いってよく言われるんだよね」家計のことまで聞いてくる知人。だが、正直な気持ちを伝えた結果
聞かれることが、家の中の話ばかりになった
子どもの習い事で知り合った人がいました。毎週の送り迎えで顔を合わせるうちに話すようになり、最初は気さくな人だと思っていました。
話が途切れないので、待っている時間が短く感じられたくらいです。
少し気になるようになったのは、聞かれることが家の中の話ばかりになってからでした。
夫はどんな仕事をしているのか。家は買ったのか借りているのか。上の子の進学先はどう考えているのか。
答えにくいものは笑って濁していましたが、しばらくすると、また似たような質問に戻ってきます。
ある日、数人で子どものレッスンが終わるのを待っていたときでした。
「そういえばさ、前からちょっと聞いてみたかったんだけど」
相手がこちらを向きました。
「旦那さんって、年収どれくらいなの?」
思わず言葉に詰まりました。
「え…そういう話は、ちょっと」
笑って流そうとしましたが、相手は気にした様子もありません。
「えー、だいたいでいいじゃん。どのくらい?」
同じことをもう一度聞かれ、私は苦笑いするしかありませんでした。
「いや、本当にそのへんは話してなくて」
すると少しして、今度は家の支払いの話になりました。
「じゃあ、もしローンなら月にどれくらい払ってるの?」
「それも内緒かな」
今度は少しはっきり答えました。
それでも相手は、「そっか」と言ったあと、すぐに続けました。
「じゃあさ、貯金ってどれくらいある?」
さすがに返事が止まりました。
近くにいた人たちも、子どものいる部屋のほうを見たり、手元の荷物を直したりして黙っています。
私はそのとき、この場をどうやってごまかすかではなく、これからどう付き合うかを考えたほうがいいのかもしれないと思いました。
決めたのは、一言と、その先の距離だった
少し迷ってから、私は相手のほうを向きました。
怒りたいわけではありません。でも、また同じことを聞かれるのも嫌でした。
「ごめんね。お金の話はやめておこう」
相手は一瞬、目を丸くしました。
「あ……ごめん。そんなに嫌だった?」
「うん。こういう話、あんまり得意じゃなくて」
そう答えると、相手は少し困ったように笑いました。
「そっか。ごめんね。私、距離近いってよく言われるんだよね」
「うん。でも、もう大丈夫」
少しだけ気まずい間ができました。
すると相手が、思い出したように言いました。
「そうだ。発表会の並び順、もう見た?」
「まだ。もう出てるの?」
「うん。入口のところに貼ってあったよ」
話題はそこで変わりました。
次の週も、その次の週も、お金の話をされることはありませんでした。
ただ、私のほうも少し距離を意識するようになりました。家のことは自分から細かく話さない。連絡は習い事に関係する用事があるときだけ。待っている間も、ずっと話し続けるのではなく、レッスン室の窓越しに子どもの様子を見る時間を作りました。
嫌いになったわけではありません。
ただ、ここから先は話さない、という線を自分の中で決めておくと、ずいぶん楽になりました。
何週かたったある日、帰りの駐車場で相手と一緒になりました。
車のドアに手をかけた相手が、こちらを見て笑いました。
「今日、ずいぶん上手に弾いてたね」
「え、うちの子?」
「うん。待ってる間に見てたの。前より指がよく動いてたよ」
「ほんと? 本人に言ったら喜びそう」
ちょうどそこへ、子どもが楽譜の袋を持って走ってきました。
「ママ、帰ろう」
「うん、帰ろうか」
相手に「じゃあ、また来週」と言うと、「またね」と返ってきました。
それからも顔を合わせれば普通に話します。でも、夫の収入や家のローン、貯金について聞かれることはなくなりました。
近づきすぎず、離れすぎず。そのくらいの距離が、私にはちょうどよかったのだと思います。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














