「また最初から説明するのか?」2日続けて怒って電話してきた男性。店舗へ引き継いだ3週間後、私に届いた手紙
受話器の向こうから聞こえた怒鳴り声
当時の私は、携帯電話会社のコールセンターで、問い合わせや苦情の電話を受けていました。
ある日、電話を取った瞬間、男性の大きな声が耳に飛び込んできました。
「ふざけてんのか。店で散々待たされたのに、最後になって今日は手続きできませんって、どういうことなんだよ」
かなり腹を立てていることは、声だけでも伝わってきました。
私はすぐに説明を始めず、まず何があったのかを聞くことにしました。
「長い時間お待ちになったんですね。申し訳ありません。何があったのか、順番に聞かせていただけますか」
男性によると、店舗で長く待ったあと、必要な書類が足りないため、その日は手続きできないと言われたそうです。
「こっちは時間つくって行ってるんだよ。必要なら、最初に言ってくれればよかっただろ」
「そうですよね。長く待ったあとで言われたら、納得できないですよね」
「そうなんだよ。俺が言いたいのはそこなんだよ」
声はまだ大きかったものの、少しずつ何に腹を立てているのかが分かってきました。
私は聞いた内容を記録し、その日は電話を終えました。
翌日もかかってきた電話
ところが翌日、同じ男性から再び電話がありました。
「昨日も話したんだけど。また最初から説明しなきゃいけないのか?」
まだ苛立ちは残っているようでした。
「大丈夫です。昨日うかがった内容は記録に残っています。念のため、こちらで把握していることだけ確認させてもらってもいいですか」
「…ちゃんと残ってるの?」
「はい。長くお待ちになったあと、必要な書類が足りないと言われ、その日は手続きできなかったというお話ですよね」
「そう。それだよ」
私は店舗側の対応記録も改めて確認しました。
ただ、記録を見ても、必要書類について事前に十分な案内ができていたかまでは確認できませんでした。
「こちらでも記録を確認したのですが、必要書類について十分にご案内できていたか、はっきり確認できませんでした。何度もお手間を取らせてしまって、申し訳ありません」
すると男性は、しばらく黙ってから声の調子を少し落としました。
「…別に、文句が言いたいだけじゃないんだよ。また店に行って、同じことになったら困るんだ」
「そうですよね。次は同じことにならないように、店舗にも内容を引き継ぎます」
「店長にも話してもらえる?」
「はい。私から状況を伝えておきます」
3週間後に届いた一通の手紙
私は店舗へ内容を引き継ぎ、男性の都合のよい日時に店長から説明できるよう手配しました。
後日、対応記録を確認すると、男性は店舗で改めて説明を受け、必要な手続きを終えていました。
それから3週間ほどたったころ、コールセンターに私宛ての封筒が届きました。
隣の席の同僚が、不思議そうにこちらを見ました。
「手紙?誰から?」
「ほら、前に2日続けて電話してきたお客様」
「ああ、昨日も電話してきた方?」
「うん。たぶん、その方」
何が書かれているのだろうと、少し緊張しながら封を開けました。
中には、短い手紙が入っていました。
「あのときは、怒鳴ってしまってすみませんでした。最後まで話を聞いてくれて、ありがとうございました」
思ってもいなかった言葉に、私はしばらく手紙を見つめてしまいました。
近くにいた上司も内容を知ると、ほっとしたように笑いました。
「ちゃんと伝わってたんだね。よかったね」
「はい。2日目の電話が来たときは、正直ちょっと緊張しましたけど…」
そう答えると、同僚も苦笑しながら言いました。
「それは緊張するよ。あれだけ怒ってたもんね」
怒鳴られたことまで、きれいな思い出になったわけではありません。
それでも、最後まで話を聞いたことが相手に伝わっていたのだと思うと、少しだけ救われた気持ちになりました。
私は手紙を封筒に戻し、しばらく引き出しの中にしまっておきました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














