「これ、お宅のゴミじゃない?」早朝に突然訪ねてきた隣人。否定しても信じてもらえなかった私が後日見せたもの
夏だけ借りた山あいの家
夏のあいだだけ、山あいの一軒家を借りて暮らしたことがあります。
田舎暮らしにあこがれていた私には、古いけれど居心地のいい家でした。
その集落では、指定のゴミ袋に名前を書いてゴミ置き場に出すのが決まりでした。
ただ、私は人目につく場所にゴミを置くのが落ち着かず、車で町の処理場まで直接運んでいました。
処理場でもらう受付票は、捨てずに車の中に保管していました。
そんなある朝、まだ外が薄暗いうちに、玄関のチャイムが何度も鳴りました。
「すみません、ちょっと開けてもらえる?」
玄関に出ると、隣のおばさんが立っていました。足元には、名前の書かれていないゴミ袋があります。
「これ、昨日の夜にゴミ置き場に出てたんだけど、お宅のじゃない?」
「いえ、違いますよ」
「でも、名前が書いてないのよ。最近来たばかりだから、出し方を知らないのかと思って」
「うちはゴミ置き場を使っていないんです」
「じゃあ、ゴミはどうしてるの?」
「町の処理場に…」
「とにかく、名前を書かないで出されると困るのよ。ちゃんとしてちょうだい」
最後まで説明する間もなく、おばさんはゴミ袋を玄関先に残して帰ってしまいました。
確かに、名前のないゴミが出ていたら困るでしょう。でも、私が出したと決まったわけではありません。
話を聞いてもらえなかったことが、何よりも残念でした。
近所の前で広げた受付票の束
それからしばらくした朝のことです。
いつものように処理場へ行こうと車にゴミ袋を積んでいると、少し先のゴミ置き場から話し声が聞こえてきました。
見ると、隣のおばさんが近所の人たちと話しています。
「この前の名前のないゴミ、あの家の人だと思うのよ。最近来た人だから、決まりを知らないんじゃないかしら」
私は驚きました。あの日、きちんと説明できなかったとはいえ、まだ私が出したと思われていたのです。
このままでは誤解が広がってしまうと思い、車の中から受付票の束を取り出して、みんなのところへ向かいました。
「おはようございます。すみません、今のゴミの話なんですけど」
おばさんがこちらを振り向きました。
「ああ、あなた。あのゴミのこと?」
「はい。この前もお話ししようとしたんですが、うちはいつも、処理場に直接持ちこんでいます」
私は受付票を差し出しました。
「これ、処理場でもらった受付票です。毎回取ってあるんです。うちはゴミ置き場には出していません」
すると、近くにいた年配の女性が受付票を受け取り、何枚か確認しました。
「あら、本当ね。何度も持っていってるのね」
「はい。車で運んでいるんです」
別の人が、おばさんに尋ねました。
「それで、あの袋がこの人のだって、何か分かったの?」
「いや、それは……。最近来た人だから、そうなのかなって……」
おばさんは言葉を濁しました。
「そうだったのね。でも、決めつけるのはよくないわよ」
年配の女性がそう言うと、おばさんは何も言い返さず、気まずそうに目を伏せました。
受付票だけで何もかも証明できるわけではありません。それでも、私が普段から処理場を利用していることは、分かってもらえたようでした。
それ以来、おばさんがゴミのことでうちのチャイムを鳴らしに来ることはなくなりました。
後日、あのとき受付票を確認してくれた女性が、畑でとれたきゅうりを袋いっぱいに届けてくれました。
「よかったら食べて。あの朝、ちゃんと説明できてよかったね」
「ありがとうございます。話を聞いてもらえて、ほっとしました」
受付票を取っておいたおかげで、少なくとも自分の説明を裏付けることができました。
あのとき、感情的にならずに話せてよかったと思っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














