「お疲れさま。今年も白餅3個ね」と毎年袋を渡す大伯母。餅つきの日に私が笑顔で袋を掲げると、大伯母が沈黙した
餅つきの庭で渡された白餅の袋
大伯母は今年も、私に白餅3個だけの袋を渡しました
夫の実家では毎年この時期、親戚みんなが集まって餅つきをします。
庭のあちこちで、餅をつく音と笑い声が重なります。
私は嫁いで四年目。
親戚の中では、まだ新参者です。
つき上がった餅を丸める作業は楽しく、笑い声の絶えない一日が好きでした。
ただ、最後の餅の分け方だけは、毎年気が重いのです。
袋を配るのは、夫の祖父の姉にあたる大伯母の役目です。
まとめ役の本家には、あんこ餅がたっぷり入った袋が渡されます。
一方、私の袋には小ぶりな白餅が入っているだけです。
「お疲れさま。今年も白餅3個ね。」
大伯母は周りに聞こえないほどの小声で言い、袋を私の手に押しつけました。
私は言い出せず、本家のあんこ餅の山を横目に黙っていました
私も朝から庭に立ち、みんなと同じだけ餅を丸めました。
それなのに、袋の中身にははっきりと差があります。
すぐそばの長机には、本家の袋が置かれていました。
袋の口まであんこ餅がぎっしり詰まっています。私は渡された自分の袋を、胸の前で持ったままでした。
今までの私は、お礼を言って受け取るだけでした。
新参者が餅の数に口を出せば、せっかくの楽しい場が気まずくなる。
そう考えて、言いかけた言葉を毎年のみ込んできたのです。
袋の中をのぞく私に気づくと、大伯母は先回りするように言いました。
「餅の分け方は、私が決めてるの。」
涼しい顔のまま、大伯母は手のひらをこちらへ向けました。
袋を掲げて笑顔で伝えた私
私は袋を掲げ、明るい声で中身の少なさを伝えました
来年もまた同じ袋を受け取るのだろうか。そう思ったら、ふっと肩の力が抜けました。
責めるのではなく、見たままを明るく言うだけなら、場を壊さずに済むかもしれません。
私は受け取った袋を胸の高さまで掲げ、笑顔で口を開きました。
「私の袋だけ、餅が少ないですね。」
大伯母の動きが、そこで止まりました。
「あら、詰め間違いかしら……」
さっきまでの涼しい顔は消え、視線は袋と私のあいだを行き来しています。分け方は自分が決めていると言った直後です。
親戚が餅を足してくれ、翌年から人数分で分けるようになりました
近くにいた親戚たちも、私の袋と本家の袋を見比べはじめました。親戚の一人が首をかしげ、『この袋、中身がだいぶ違わない?』と声を上げます。
別の親戚が、本家の袋からあんこ餅を取り分けて、私の袋に入れてくれました。一つ、二つ、三つ。数えるうちに、袋が少しずつふくらんでいきます。
「来年は、みんな同じ数にしよう。」
大伯母は返す言葉がなく、目を伏せたまま立っていました。
その日の夕方、家に帰って袋から出したあんこ餅を、夫とお茶を飲みながら食べました。やわらかくて、ほんのり甘い味でした。
翌年からは、餅が全員に同じ数ずつ分けられるようになりました。私の気持ちも軽くなりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














