「アイロンかけなくて楽でいいよね」食事会で父親の職業を皮肉った姪。だが、大人気もなく反論してしまった結果
食事会の途中で漏れた皮肉
義姉一家との食事会は、季節ごとに数回ある。
いつもは穏やかに料理を取り分け、子育ての話や近況を交わしながら時間が過ぎていく。
私が30代に入ってからも、その距離感はあまり変わっていない。
子どもたちの年齢も近く、互いの様子を気にかけ合うような場だった。
その日も、外のレストランで義姉夫婦・子どもたちと一緒のテーブルを囲んでいた。
義姉の夫はスーツ勤めで、ワイシャツのアイロンがけが毎朝大変だという話題が場に出ていた。
私は相づちを打ちながら聞いていた。私の夫は作業着勤めで、その点では確かに手間がかからない側だった。
お互いの家庭ごとに、家事の中身は違うものだ。普段はそれを比べて話題にすることもない。
義姉の小学生の娘が、料理から顔を上げて私を見た。
屈託のない笑顔のまま、迷いなく口を開いた。
「○○ちゃんはお父さんのワイシャツ、アイロンかけなくて楽でいいよね」
子どもの口から出るには、ずいぶんと父親の職業を意識した発言だった。
義姉は隣で黙ったままで、注意も訂正も入れなかった。
会話を流すか、笑ってごまかして終わらせる選択もあったと思う。でも、その日は黙っていられなかった。何かを返さないと、次の集まりまで気持ちが引きずられる予感がした。
聞き返した先に残った沈黙
少し悔しくて、声を落ち着けて姪に聞き返した。
「うちはアイロンかけないけど、ダメ?」
姪は私の目をまっすぐ見て、迷いもなく答えた。
テーブルの上で、自分の箸が止まったのが分かった。
冗談を返す余地もない、短すぎる答え。からかう悪意も、こちらを試す意図も、子どもの表情には浮かんでいなかった。
それなのに、言葉だけが鋭く残ったんです。
子どもらしい無邪気さが、かえって角を尖らせていた。
義姉は何も言わなかった。
「ごめんね」も「そういう意味じゃないの」も、どちらも聞かれなかった。
代わりに夫がさりげなく別の話題に移してくれて、場は何とか流れていった。
料理の味は、不思議と覚えていない。視線の置き場所だけ、ずっと探していた気がする。
家に着いてから、夫と二人で振り返った。
子どもの素直な感想だったのか、家で繰り返されている言葉だったのか。確かめる手段はなかった。
たまに会うだけの関係だからこそ、波風を立てるほうが面倒に感じてしまう。
胸に残ったまま、答えのない沈黙だけが続いている。次の食事会の連絡が来たとき、少しだけ気が重くなった自分もいた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














