「あなたは我慢して」嫁の好物だけ作らない義母。だが、六歳の甥の一言で状況が一変
いつも息子の好みだけ
親戚が集まる昼の食卓は、毎回、夫の好みで埋め尽くされていた。私はその隅で、出された料理に箸をつけるだけだった。
義母は、私が辛い味付けを苦手だと知っているはずだった。それでも食卓の煮付けは、いつも夫の好きな辛口で作られる。
「辛口じゃないと息子が食べないの、あなたは我慢して」
そう言われるたび、私は黙って白いご飯を増やした。出かける先も同じだった。行き先を決めるのはいつも夫で、私の行きたい場所は「時間が余ったら寄りましょう」で終わる。
「○○君が行きたいところでいいわよね」
義母の中で、予定の真ん中にはいつも夫がいた。私の希望は、後回しにされるのが当たり前になっていた。
六歳の甥が見ていたもの
その日、テーブルの向かいには、夫の姉の子である六歳の甥が座っていた。子どもは、大人が隠そうとするものを、まっすぐ見ている。
甥は、辛い煮付けに箸をつけられずにいる私を見て、それから義母に無邪気に聞いた。
「おばあちゃん、どうして◯◯ちゃんのママの好きなのは作らないの?」
和やかだった食卓が、しんと静まり返った。親戚たちの視線が、ゆっくりと義母へ向かう。義母は笑顔のまま固まり、それから目を泳がせた。
「だって、息子が辛いのが好きだから……」
言い訳のような言葉は、途中で力を失っていった。
夫が口を開いた瞬間
そのとき、隣に座っていた夫が箸を置いて、はっきりと言った。
「母さん、妻は辛いの苦手なんだよ。前からそう言ってたよな。気づいてやれなくて、ごめんな」
夫が私の方を向いて謝った瞬間、義母の顔から表情が消えた。親戚の一人が「お嫁さんの好みも聞いてあげないと」と静かに言い、何人かが小さくうなずく。
義母は反論の言葉を探すように口を開きかけ、結局、何も言えなかった。
「……ごめんなさいね。次の集まりは、あなたの好きなものも聞くから」
義母は、初めて私の名前を呼んで、そう言った。
「ありがとうございます。楽しみにしています」
私はそれだけ、毅然と返した。次の休みの行き先には、私が前から行きたかった場所も、ちゃんと組み込まれていた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














