「昨日の夕方、バス待ってたよね」道案内を変だと笑った先輩。不気味な先輩の主張に背筋が凍った瞬間
まだ知らない先輩
その職場に入って、3か月ほどが過ぎたころでした。仕事にも少し慣れてきた時期です。
休憩室で、あまり話したことのない先輩が、私の隣に腰かけました。
世間話でもするのかと思っていると、その人は思いがけないことを口にします。
「昨日の夕方、バス待ってたよね」
前置きはありませんでした。
昨日の終業後、私がバス停にいたことを、その先輩は知っていたのです。
その人とは、これといった接点もありませんでした。
名前と顔が一致する程度の間柄です。
だからこそ、昨日の私の帰りを知っていることが、妙に引っかかりました。
笑って言われた「変」
そのとき私は、道を尋ねてきた男性に、行き先を教えていただけでした。
相手は、まったく知らない人です。
短いやり取りでした。
男性は礼を言って歩き去り、私もバスに乗り込んだだけです。
誰かにじっと見られているとは、そのときは思いもしませんでした。
その話をすると、先輩は口元だけで笑いました。
「あなたの案内の仕方、なんだか変だったわよ」
どこが変なのか、私には見当もつきません。
ただ道を指さして教えただけの、短いやり取りだったのです。それを、先輩は離れた場所からずっと見ていたことになります。
視線に気づいてしまった
笑いながら去っていく背中を見送りながら、私はようやく気づいてしまいました。
この人は、昨日のあの数分を、どこかからじっと見ていたのだと。
思い返せば、心当たりはいくつもありました。
私が席を立った時間。昼に入った店。帰りに寄り道した道。
どれも話した覚えはないのに、先輩はなぜか知っていたのです。
その日から、私は先輩の視線を意識するようになりました。
休憩室でも、廊下でも、ふとした瞬間にこちらへ向けられている気がします。
目が合うと、先輩はやはり静かに笑うのです。
とがめられているわけではありません。
何かを注意されるでもない。ただ見られて、確かめられて、笑われる。その繰り返しが、じわじわと私の心をすり減らしていきました。
それからも、数日に一度、同じように声をかけられました。とがめるのではなく、確かめるように、そして必ず最後は笑って。
あれから何年も経ちました。あの視線が何だったのか、今も答えは出ません。ただ、思い出すたびに、うなじのあたりが冷たくなります。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














