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2026.06.29(Mon)

「昨日の鍋の残りだけど」初めての挨拶で出された雑炊→義母の考えに納得いかなかった結果

「昨日の鍋の残りだけど」初めての挨拶で出された雑炊→義母の考えに納得いかなかった結果

土鍋の底に沈んでいたもの

結婚前、初めて彼の実家へ挨拶に行った。義母の手料理が食べられると聞いて、内心とても楽しみにしていた。

食卓に出てきたのは、湯気の立つ雑炊。

けれど鍋の底に沈んでいたのは、身を外したあとのカニの脚と殻だけだった。

「昨日の鍋の残りだけど」

義母は悪びれもせず、そう言ってよそってくれた。前日に家族でつついたカニ鍋の、雑炊だった。

その場では何も思わなかった。味は素朴でおいしかったし、私もにこやかにいただいて帰った。

遠ざかっていく背中

違和感が形になったのは、家に帰ってからだ。初めて訪ねてきた相手に、昨日の残りを平然と出す。悪意があればまだ分かる。悪意がないことのほうが、ぞわりときた。

「もうお客様じゃないから」

結婚してから、義母は何度もこう口にした。最初は遠慮のない関係を望んでいるのだと思った。

でも違った。私を気遣う、という発想がそもそも棚に入っていなかったのだ。家族とは気を遣わない関係、ではなく、最初から数に入れない関係。

そういう意味だと、暮らすほどに分かってきた。

結婚式では親族のバス手配を、夫に相談もせず式場へ直接かけていた。家を建てる契約をすませた後になって突然反対し、わざわざ担当者を呼びつけたこともある。

そのたびに私は説明を試み、つい声が大きくなった。

「なんで先に言ってくれないんですか」

「あなたのためを思ってよ」

そう返されるたび、言葉が宙に浮いた。何十年も外との接点を絶って生きてきた人で、話が通じる手応えがまるでない。

怒っても泣いても、壁に向かって喋っているようだった。意見の食い違いなら、まだすり合わせようがある。けれど義母との間にあったのは、そもそも会話が成り立たないという種類の隔たりだった。

いつしか私は、義母を変えようとするのをやめた。世の中には、人として向き合うこと自体が難しい相手もいる。

そう認めてしまったほうが、自分が楽になれた。

気づけば夫のほうが先に音を上げていた。実の母にもう期待しない、という顔で、年始すら足を運ばなくなった。

あの雑炊は、いちばん最初に差し出されたサインだったのかもしれない。

「第二おばあちゃん」

子どもたちは義母をそう呼ぶ。一番ではない、控えのほう。誰が教えたわけでもないのに、家族の中で順位は静かに固まっていた。あの雑炊の湯気を、今もときどき思い出す。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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