「バイバイとか、挨拶の仕方がなってないでしょ!」園のお迎えで娘を怒鳴る母親→口論の末についた決着
仲良しの子に手を振っただけ
うちの娘と同じクラスに、なぜか娘と相性の合わない子がいた。
子ども同士に好き嫌いはあるもので、私はそこに口を出さないようにしていた。
お迎えの時間、園庭から出てきた娘が、いつも一緒に遊んでいる子へ笑顔で手を振った。
「あしたもあそぼうね、バイバイ」
その光景を、少し離れたところで例の子の母親が見ていた。次の瞬間、彼女は娘のほうへ大股で歩み寄ってきた。
「バイバイとか、挨拶の仕方がなってないでしょ!」
四歳の子に向けるとは思えない声量だった。娘はびくっと肩をすくめ、私の足にしがみついた。
かばいながら返した問い
最初は驚いて固まってしまったが、震える娘の手を感じて、黙ってはいられなくなった。
私は娘の前に立ち、その母親に向き合った。
「怒鳴りつけてまで強要させるんですか!?」
母親は気色ばんで言い返してきた。
「挨拶くらい、ちゃんとさせるのが親でしょ」
「仲のいいお友達に手を振った子に、大人が怒鳴って従わせる。それが正しいとは思えません」
そう告げると、母親の言葉が止まった。何か言いかけては、口をつぐむ。反論を組み立てようとして、うまく言葉にならない様子だった。
「だって、うちの子が可哀想じゃない」
かろうじて絞り出したのは、それだけだった。気づけば、お迎えに来ていた他の親たちが、足を止めてこちらを見ていた。誰も彼女に同調する声を上げる人はいなかった。
一斉に引いていった人たち
ざわついた空気のなかで、近くにいた一人が遠慮がちに声を上げた。
「子どもに無理やり挨拶させるのは、さすがにねえ」
それを合図にしたように、周りの親たちが小さくうなずき、彼女から半歩ずつ距離を取った。味方が誰もいないと悟ったのか、母親の勢いはみるみるしぼんでいった。
最後はもう、こちらと目も合わせられない様子だった。
「……行くよ」
子どもの手を引き、逃げるようにその場を後にした。来たときの大股とは違う、足早でうつむいた背中だった。
娘はまだきょとんとしていたけれど、私はもう胸のつかえが取れていた。庇ってくれた人がいて、見ていた人たちが何が正しいかをちゃんと分かっている。
それだけで、張り詰めていたものがほどけていった。
あの母親は翌日から私たちを避けるようになったが、こちらから歩み寄る必要も感じなかった。
理不尽に声を張り上げた人が、自分から小さくなっていく。その背中を見送れただけで、十分だった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














