「育休なんて、家で休んでるだけだろ」と冷たい言葉をぶつける夫。だが、離婚届を突きつけた結果
三時間おきの授乳で削られていく日々
娘が生まれてからの数か月、私の一日は三時間おきの授乳で細切れになっていた。
夜泣きはとくにひどく、抱っこしてもミルクをあげても泣き止まない夜が続く。
それでも夫は、隣で背を向けて朝までぐっすり眠っていた。沐浴も寝かしつけも私の役目で、夫が手を貸したことは一度もない。
育休中の私に、夫はいつもこう言った。
「育休なんて、家で休んでるだけだろ」
その言葉を聞くたび、私はぐっと飲み込んできた。
働いていないのだから、文句を言う資格はないのだと、自分に言い聞かせて。
けれど、夜中に何度も起きて娘を抱き、昼間も家事と授乳に追われる毎日に、休んでいる時間など一秒もなかった。
育休は休暇ではなく、誰にも代わってもらえない夜勤の連続だった。
限界は静かに、けれど確実に近づいていた。
ため息ひとつに飛んできた怒鳴り声
ある深夜、娘を抱えて一時間あやし続けても泣き止まず、私は思わず小さなため息をついた。
すると背を向けて寝ていたはずの夫が、いきなり起き上がって怒鳴った。
「それが今のお前の仕事だろ!」
働いていないお前にとって、夜泣きの世話こそが仕事なのだから、ため息などつかずに黙ってやれ。
そういう意味だった。
言い終えると夫はまた布団に潜り込む。私はその背中を見つめながら、心の中で何かが冷たく固まっていくのを感じた。
涙は出なかった。ただ、決めただけだった。
差し出した一枚に、夫の指が震えた
翌朝、私は記入済みの離婚届をテーブルに置いた。
「これに判を押して」
夫はまだ寝ぼけた顔で、冗談だと思ったのか笑った。
私は手帳を開き、ここ数か月の記録を読み上げた。
夜間授乳が一晩に三回、ミルクづくりが一回十五分、おむつ替えが一日八回。
それを誰の手も借りずに続けてきた数字を、淡々と並べていく。夫の笑みが、見る間にこわばっていった。
「あなたが仕事と呼んだものを、私は一人で三百六十五日やってる。あなた、娘のおむつのサイズも知らないでしょう」
夫は何か言いかけて、言葉を失った。
離婚届に伸ばしかけた指がぴたりと止まり、わずかに震えている。自分が口にした「仕事」の重さを、そのとき初めて思い知ったようだった。
「頼む、考え直してくれ」
その声は、これまで聞いたことのないほど小さかった。いつも私を見下していた人が、初めて真正面から私と向き合おうとしていた。
あの日以来、夫は夜泣きのたびに自分から起きるようになった。離婚届はまだ私の手元にある。それは脅しの道具ではなく、私がもう黙って耐えるだけの人間ではないという、静かな証だった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














