「昨日、メッセージ見ました?」返事をしなかった翌朝、同僚に声をかけられて感じた違和感
夜に届く文と、翌朝の廊下
四十代に入ってすぐの、前の職場での話だ。同じ階に席はあったけれど担当が違い、仕事で話すことはほとんどなかった。朝や夕方に会えば挨拶をする、それくらいの相手だった。
ある時期から、夜にその人から短い連絡が入るようになった。
「今日かなり冷えますね。帰り、気をつけてください」
最初は親切で送ってくれているのだろうと思った。特に返事をすることもなく、そのままにしていた。
ところが何日かすると、内容が変わった。
「さっき、家の近くにいましたよね? 見かけました」
その週だけで、「家の近くで見かけた」という連絡が3度届いた。私はどれにも返さなかった。
すると翌朝、廊下ですれ違ったところで声をかけられた。
「昨日、メッセージ見ました?」
「あ……すみません。夜はあまり返さないんです」
「そうなんですね。返事がないから、ちょっと気になって」
怒っているわけでも、責めているわけでもなかった。それでも、なぜ私の返事をそこまで気にするのだろうと思った。
別の日には、出勤してすぐに声をかけられた。
「昨日、けっこう遅くまで残ってましたよね」
「ああ、少し仕事が残っていたので」
「やっぱり。見かけた気がしたんです」
同じ階で働いているのだから、それ自体はおかしくない。けれど、それまでの連絡が頭に残っていて、私は少しずつその人を意識するようになっていた。
偶然でも、気になってしまった休日
有給を取った翌日にも話しかけられた。
「昨日、お休みでしたよね。どこか行ったんですか?」
「ちょっと用事があって」
「へえ、どの辺まで?」
「まあ、近くだけです」
それ以上は答えたくなくて、私はそこで話を切り上げた。
その後の休日、買い物をしていると、同じ売り場にその人がいた。目が合うと、向こうも驚いた顔をした。
「あれ、こんなところで会うんですね」
「……びっくりしました」
「僕もです。すごい偶然ですね」
本当に偶然だったのだと思う。それでも、それまでの連絡を思い出すと、私は素直に笑えなかった。
その日の夕方、上司に相談した。
「仕事のことではないんですが、少し気になっていることがあって……」
これまでのことを話すと、上司はしばらく黙って聞いていた。
「それは気になりますね。無理に大したことじゃないと思わなくていいですよ」
「私が気にしすぎなのかなって、ずっと迷っていて」
「そう思っていても、気になるなら相談して大丈夫です。できる範囲で接点を減らしましょう」
翌週から席や担当が少し調整され、その人と顔を合わせる機会は減った。
「しばらくこれで様子を見ましょう。何かあったらまた言ってください」
「ありがとうございます。少し安心しました」
それから、夜の連絡も朝の声かけも止まった。
大きな被害があったわけではない。ひとつずつなら、親切や偶然だったのかもしれない。
それでも、「家の近くで見かけました」と続けて届いた3通だけは、今でもよく覚えている。
あのとき、自分の考えすぎだと片づけず、一度誰かに話してみてよかったと思っている。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














