「普通は、年収これくらい必要ですよね」マッチングアプリで出会った男。だが、会計時の一言に付き合うのをやめた
「普通は」が口癖の彼に積み重なった違和感
マッチングアプリで会った男性は、二度目の食事から急に話題を変えてきました。
最初は爽やかに見えた彼が、自分の年収や肩書きを匂わせる発言を増やし始めたんです。
プロフィールには書かれていなかった数字が、テーブル越しに次々と並べられました。
「普通は、年収これくらい必要ですよね」
給料の話、住んでいる街の話、車の話。
何かを語る前に必ずこの一言を挟み、私が違う答えを返すと一瞬黙り込む。
会話というより、こちらを試す面接のような時間でした。返事を間違えれば不合格、そんな空気さえ漂っていたんです。
趣味の話を振り返してみても、最後はなぜか彼の年収査定が混ざってくる。
グラスを持つ手の感覚だけが、妙に冷たくなっていったのを覚えています。
料理の味も、途中からほとんど思い出せませんでした。
店員さんが「お味はいかがですか」と笑顔で声をかけてくれた瞬間だけ、ふと現実に引き戻されるような感覚があったんです。
会話のテーブルに、私という人間がいる気配が、どんどん薄くなっていきました。
十円単位の伝票で、一気に冷めた瞬間
食事もそろそろ終盤、彼が突然将来の話を始めました。
「結婚したら仕事セーブしてほしい」
「家事は任せたい」と、私の希望を一度も聞かずに条件を並べ始めたんです。
子育ての分担についても、こちらの返事を待つ気配は一切ありません。
(私への配慮はないの)
その違和感をかかえたまま、会計の時間になりました。
決定打は、伝票を真剣にのぞき込んだ彼の一言です。
「割り勘ね」
細かい金額を計算機に打ち込み、十円単位で割り出してくる。
さっきまで年収を語っていた人が、いま目の前で一円単位の損得を真顔で詰めている。私はただ、その横顔を黙って見つめていました。
支払いを終え、店を出ても会話はかみ合いませんでした。
「次はどこ行く?」と続ける彼に、私は曖昧な笑みしか返せなかったんです。駅で短く挨拶をして別れた後、私は迷わずメッセージアプリの画面を開きました。
「価値観が合わないと感じました」
その一文だけ送って、それ以上のやり取りはやめました。
長く理由を書けば、きっと彼は反論で全部覆そうとしてくる。そんな未来が、なぜか先に見えていたんです。
怒りもなく、悲しみもない。ただ、自分を一人の人間として見てくれない相手とは、これ以上時間を使えなかった。沈黙の中で、私はそう線を引いたのでした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














