「これくらい嫁の義務だよ」と寝そべる夫→猛暑の台所に8時間こもった妻が残した書き置きとは
リビングの夫と、台所の私
お盆に夫の実家へ帰省した日のこと。親戚が10人以上集まる中、義母に言われて私は台所へ回された。男たちは大事な話があるのだという。
涼しいリビングからは、義母や義姉たちの笑い声が絶えず聞こえてくる。一方の私は、エアコンの効かない台所で、汗だくになりながら大量の料理と片付けに追われていた。下げてきた皿を洗い終える前に、また新しい注文が飛んでくる。座る暇など一秒もなかった。
酒の入った叔父たちは、私を見るたびに無遠慮な言葉を投げてくる。
「気が利かない嫁だな」
それでも耐えられたのは、夫だけは分かってくれていると思っていたからだ。限界が近づいた夕方、私はリビングへ行き、寝そべる夫に頼んだ。
「ねえ、ちょっとだけ代わってくれない?」
返ってきたのは、想像もしなかった言葉だった。
テーブルに残した一枚
「これくらい嫁の義務だよ」
夫はクッションに頭をのせたまま、面倒くさそうに笑った。その笑顔を見た瞬間、私の心は完全に冷めた。怒りよりも、深い諦めだった。
結局その日、私は8時間近く台所にこもりきりだった。夜、客間の布団に入っても、いつまでも眠れなかった。暗い天井を見つめているうちに、これまで我慢してきたものが一気に押し寄せてきて、ひとつの決意だけが静かに固まっていった。
翌朝、午前5時。誰も起きてこないうちに、私は荷物をまとめた。そして夫の財布から、帰省にかかった往復の交通費分だけを正確に抜き取った。
テーブルには、一枚の紙を残した。
「家政婦扱いに限界がきました。今後の帰省は二度といたしません」
始発に乗り込んだ私のスマートフォンには、起き出した夫からの着信が次々と入った。一件も出なかった。
家事を担う者がいなくなった義実家は、その朝、男たちだけで大騒ぎになったらしい。
それからの夫は、別人のように変わった。私に何かを強いることをやめ、義実家への帰省を口にすることもなくなった。
「もう、無理にとは言わないから」
そう言って目を伏せる夫を見て、私はようやく少しだけ報われた気がした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














