「学校なんか休ませろ!」温泉旅行を理由に無茶を言う義父。だが、夫婦揃って徹底的に反対すると
透けて見えた魂胆
夫の父は、お金にひどく細かい人だった。外食でも財布を出さず、贈り物をしてもお礼を言わない。
そんな人が、急に温泉旅行を言い出した。
「いい温泉旅館を見つけたから、予約してやる」
自分で旅費を出すとは思えない義父の言葉に、私は身構えた。案の定、続いたのはこちらへの注文ばかりだった。
「露天の家族風呂が予約できる宿だ。膝が悪いから、風呂の介助はお前らに頼むよ」
膝の悪い義父は、湯船の出入りに介助がいる。
続けて荷物は私たちが運び、支払いは現地で精算しろと、次々に役割を割り振ってきた。
荷物係、財布係、雑用係。おまけに部屋は、夫と私と子どもの同じ一室だという。
要するに、無料で介護サポート付きの接待を受ける算段が、はっきり透けて見えた。
義父からすれば至れり尽くせりの旅行でも、こちらはお金を払ってこき使われに行くようなものだ。
子どもへの祝い金もなく、帰省しても孫を可愛がってはくれない。
そんな関係なのに、旅行のときだけ便利に使われるのは、どうしても納得できなかった。
毅然と断った妻
夫も乗り気ではなかった。それでも何度も電話をかけてくる義父に、私は子どもの予定を盾にして応じた。
「行けません」
遠回しではなく、その日は学校と習い事があるからと、はっきり伝えた。
受話器の向こうで、義父が一瞬黙る気配がした。
「学校なんか休ませろ!」
たまの家族旅行だぞ、と義父は食い下がってきた。けれど私は引かなかった。
「子供の予定を崩してまで行く旅行ではないので」
義父は言葉に詰まった。
「お前は親をなんだと…」と言いかけて、続きを飲み込む。何度か言い募ろうとしては口ごもり、最後はグチをこぼすだけで、それ以上は押せなかった。
横で聞いていた夫も、電話を代わってきっぱり言った。
「子供を休ませてまで行く旅行じゃないよ」
夫婦そろって同じ態度だと分かると、義父はとうとう黙り込んだ。
受話器の向こうで小さく舌打ちが聞こえ、それきり言い返してはこなかった。
電話のあとも義父は折を見て旅行の話を蒸し返したが、私たちは毎回、ていねいに、しかし一歩も引かずに受け流した。
介助込みの接待を当て込んだ計画は、宙に浮いたまま立ち消えになった。
義父はその後、以前より少しおとなしくなった。こちらの予定を無視して命じることもなくなり、頼みごとには前置きを添えるようになった。
線を引けば、理不尽な要求は意外とあっさり引っ込む。普段からの関係性こそ大切なのだと、つくづく感じた出来事だった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














