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2026.09.12(Sat)

「今は無理だって」生活費は出せないのに旅行には行く彼。だが、合わない価値観に同居をやめた結果

「今は無理だって」生活費は出せないのに旅行には行く彼。だが、合わない価値観に同居をやめた結果

飲めないビールの機械が、玄関に届いた

社会人になって一年目の秋、私の部屋には恋人の荷物のほうが多くなっていた。

彼は大学四年生で、就職活動が落ち着くまでは生活費を出す余裕がないと言っていた。家賃も食費も光熱費も、ほとんど私が払っていた。

「仕事が決まったらちゃんとするから」

そう言われれば、あと少しだけだと思えた。

ある日、玄関に大きな箱が届いた。彼が嬉しそうに開けると、中から出てきたのは月額で借りるタイプのビールの機械だった。

「え、これ頼んだの?」

「うん。家で飲めたらいいじゃん」

「でも私、ビール飲めないよ」

「俺が飲むからいいだろ。そんな高くないし」

申し込みのとき、「今だけ立て替えて」と頼まれ、支払い先には私の口座を使った。すぐに返してもらえるつもりだったが、そのまま月々の引き落としが続いた。

翌年の春、彼は大学を卒業した。それでも生活はほとんど変わらなかった。単発の仕事に行く日はあっても、生活費の話になると「仕事が決まってから」と言われた。

さらに数か月たったころ、彼から友達との旅行に誘われた。

「一緒に行こうよ」

「行きたいけど、二人ぶん出すのは無理だよ」

すると彼は少し考えてから言った。

「じゃあ俺、自分のぶんは出すよ」

私は何も言えなかった。

生活費には出せないと言っていたお金が、旅行には出せる。そのことが、思っていた以上に胸に残った。

責めるより先に、決めたこと

彼が旅行から帰ってきた夜、スマートフォンに写真が3枚届いた。海と、宿の食卓と、友達と並んで笑っている写真だった。

私は台所でその月の明細を見ていた。

怒鳴りたいわけではなかった。ただ、このまま黙って払うのはもう無理だと思った。

「ねえ。これから生活費、半分ずつにしよう」

彼は困ったように眉を寄せた。

「今は無理だって。仕事だって探してるんだから」

「うん。でも、半分ずつにしよう」

「すぐ決まるわけじゃないだろ」

私はそれ以上言わなかった。

二度伝えて、自分の中ではもう答えが出ていた。

翌週、一緒に暮らすのをやめた。彼の荷物を運ぶ日を決め、合鍵も返してもらった。私の口座から支払っていたビールの機械も解約し、返却した。

数日後、姉に電話すると、最後まで黙って話を聞いてくれた。

「それで、何て言ったの?」

「生活費、半分ずつにしようって。二回言った」

「それだけ?」

「うん。もう説明するのも疲れちゃって」

姉は少し黙ったあと、ふっと笑った。

「よく一年近く払ったね。もう、自分のぶんだけでいいんだよ」

その言葉を聞いて、ようやく肩の力が抜けた。

台所の隅には、ビールの機械がなくなったぶんだけ空いた場所があった。私はそこに、買ったばかりの小さな鍋を置いた。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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