「子供はまだ作らないの?」親戚の集まりで聞いてくる叔母。だが、従姉の正論で論破した瞬間
逃げ場のない質問
親戚が二十人ほど集まる、年に一度の食事会だった。座敷には料理が並び、久々の顔合わせに笑い声があふれていた。
その和やかさを破ったのは、向かいに座る叔母だった。
「子供はまだ作らないの?」
会うたびに繰り返される質問に、私は内心ため息をついた。結婚して数年、この人はいつもここから話を始める。
「まだ、考え中でして」
「考え中って、悠長なこと言ってる場合じゃないでしょ。」
周りの親戚が一斉にこちらを向いた気がして、私は耳が熱くなった。何を言っても深掘りされるだけだとわかっていたから、ただ苦笑いを返すしかなかった。
薄くなる笑顔
叔母の質問は、一度では終わらなかった。料理が出てくるたびに、同じ話題が形を変えて飛んでくる。
「親御さんも孫を楽しみにしてるでしょ」
「うちの娘なんて、結婚してすぐだったわよ」
そのたびに、私は曖昧にうなずいて、お茶で口を湿らせた。否定すれば波風が立つ。かといって、適当な約束もできない。逃げ道のない問いに、私の笑顔はどんどん薄くなっていった。
家庭の事情は、人それぞれだ。それを親戚一同の前で問い詰められる筋合いはない。
頭ではそう思っても、年上の親戚に正面から言い返すのは、私にはどうしてもできなかった。ただうつむいて、時間が過ぎるのを待つしかなかった。
困り果てた私の様子に、叔母はまるで気づかない。むしろ調子づいたように、声を一段大きくした。
「みんなも気になってるのよ。予定があるならあるって、はっきりしなさいよ」
真顔の論破
その瞬間、隣の従姉が箸を置き、まっすぐ叔母を見た。
「叔母さん、今は多様性の時代だよ」
「子供のいない人生を選ぶ人もいるよ」
場の空気が、ぴたりと止まった。叔母は虚をつかれた顔で、口ごもる。
「だ、だって、心配だから言ってるだけで……」
その弁解に、従姉は表情ひとつ変えずに続けた。
「デリケートな質問を人前で繰り返すのは、ハラスメントになりかねないよ。気をつけた方がいい」
正論を真顔で突きつけられ、叔母の顔がみるみる赤くなった。にぎやかだった座敷は静まり返り、二十人の視線が一斉に叔母へ注がれる。
「……そう、よね。ごめんなさい」
そう絞り出すと、叔母は決まり悪そうにうつむき、そのまま黙り込んでしまった。少し離れた席の親戚が、小さく頷いているのが見えた。誰も叔母をかばわなかった。
その後、叔母が子供の話を持ち出すことは二度となかった。むしろ私と目が合うと、気まずそうに視線を泳がせる。
守ってくれた従姉に、私は心からの礼を伝えた。長年のわだかまりが、ようやく晴れた一日だった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














